2011年度授業紹介 ── 大学院


講座名 担当教員 講座内容
文化創造論Ⅰ
(夏2・冬2)
清水 晶子 ホモナショナリズム批判[夏学期]
近年のクィア理論における重要なテーマの一つであるホモナショナリズム批判の文献を講読する。ゲイ・ポリティクスとナショナリズム、人種主義の共謀関係についてのJ. Butlerの議論を導入として、L. Dugganのホモノーマティビティ批判、J. Puarのホモナショナリズム批判、J. HalberstamやE. Freemanらのクィア・タイムの議論などを議論する予定。 毎回報告担当を決めた上でのテクストの講読およびディスカッションを中心とする。

フェミニズム/クィア視覚文化論[冬学期]
フェミニズム映画理論の基本文献を出発点に、フェミニズム/クィア理論による視覚表象作品分析の論文を講読する。基本文献については概観を理解するためにリーダーを用いた多読を行う予定。 毎回報告担当を決めた上でのテクストの講読およびディスカッションを中心とする。
文化クリティシズムⅠ
(夏2・冬2)
高田 康成 Japanese Thought Seen From Outside[summer]
The course will consider some of the characteristic aspects of Japanese thought which will present themselves when seen from outside. 1-3: Philosophico-Religious aspects 4-6: Ethical aspects 7-9: Esthetic aspects 10-13: Comparative perspective. Class will be conducted in a seminar-style. Weekly schedule can be subject to change.

Reading Francis Bacon (1561-1626)[winter]
The course will consider some of the characteristic aspects of Francis Bacon by close reading of some of his works. 1-3: Philosophico-Religious aspects 4-6: Ethical aspects 7-9: Esthetic aspects 10-13: Comparative perspective. Class will be conducted in a seminar-style. Weekly schedule can be subject to change.
伝統と創造Ⅰ
(夏2・冬2)
松岡 心平 中世芸能のテクストを読む
世阿弥または金春禅竹の能楽論を輪読の形で読み進めるつもりだが、初回に集まったメンバーによっては内容の変更もありうる。演習形式で行う。
文化ダイナミクス演習Ⅰ
(夏2)
小林 康夫 M. Blanchor, Ecriture du dësastre を読む
基本的には、講読をする予定。ただし、この授業は、5月は中島先生と客員教授パークス先生との講義に合同して英語の文献を読む予定。また、アート関係のセミナーも月一回程度併設するので、都合、三つの流れが独立して走る形をとる。予定などがかなり変則的になるので、開講時の説明を受けること。
文化ダイナミクス演習Ⅱ
(夏2)
高橋 哲哉 宗教とディコンストラクション
J・デリダに発するディコンストラクション(脱構築)の思想は、アブラハム的宗教への問いかけを含むと同時に、それ自体の「宗教性」が問われる場面を有している。この授業では、デリダをはじめディコンストラクションの流れに属する論者の宗教論を広く検討していく。J・デリダのテクストから宗教論にかかわるものを選んで精読しつつ、ディコンストラクションの宗教論を探求していく。参加者の各々にテクストの一部を担当してもらい、読解と内容に関する討論を行う。それに必要な限りで、講義を適宜はさんでいく。仏語原典を読むことが中心になるが、多くは英訳があり、仏語が未修でも履修は可能。
文化ダイナミクス演習Ⅲ
(夏2)
高橋 宗五 カントの『判断力批判』第一序論を読む
徹底したテクストの読みを通してカント美学・芸術論の理解を目指す。昨年度に引き続きカントの第三批判の所謂「第一序論」の講読を行います。今学期は第8節から始めます。 講読ですから順次訳読を行い、その後で解説や説明を行い、議論をします。ドイツ語の読めない人でも参加できます。カントのテクストの読み方には幾つか問題があり、翻訳者がどうした読みを採用しているかは重要な論点になりますから、ドイツ語以外のヨーロッパの言語でお読みになる方もそれぞれ寄与が可能ですので、そうした方の参加も歓迎します。
文化ダイナミクス実験実習Ⅰ
(夏2)
内野 儀 続・ニューメディア論を読む
近年のニューメディア論の展開を追いかけることが主眼となるが、前年に引き続き W. J. T. Mitchell and Mark B. N. Hansen, CRITICAL TERMS FOR MEDIA STUDIES (Chicago: U of Chicago P, 2010)を読み進める。可能であれば、受講生の興味に従った理論的ないしはジャンル的枠組みにおける近年のニューメディア関連の文献を雑食的に読み進める。
文化ダイナミクス実験実習Ⅱ
(夏2)
ドォヴォス・パトリック
この授業では、最近フランス語で書かれたダンス(しかしジャンルを必ず限定しない)を扱う批評のテクストや研究論文を読む予定です。哲学を始め、人文知がかなり浸透しているこの言説を精読し、その含意や有効性を検討します。できる限り、映像でも確認できる具体的な作品の分析においてその批評的な言説の可能性をみていきたいと思います。例えば、ニジンスキーの『牧神の午後』を、それを論じるS. Hecquet & S. Prokhorisの研究(『Fabriques de la danse』)や、それと全く違う文脈で書かれた文章とS. Hecquet & S. Prokhorisの研究書『Fabriques de la danse』の第二章から読む予定。関係する映像資料を参照しつつ、三~四週後に次のテクストに進んでいきます。長いフランス語のテクストを精読することには語学力やかなりの忍耐力が要求されます。読むテクストの解読を分担するなり、発表などによって積極的な参加が期待されています。
イメージ分析論Ⅰ
(夏2)
刈間 文俊 中国映画論を検討する
近年、中国映画の研究は、飛躍的に発展している。とくに中国本国での研究の進展は著しい。中国映画に関する代表的な論考を比較検討することで、中国映画研究の現況を俯瞰的に眺めることを目標としたい。初回に、中国映画研究の概況を紹介し、代表的な論考の書目を提示する。各自の担当を決め、二回目以降は、担当者の発表と討論、コメントによって、ゼミ形式で進める。中国語未修者には、中国語以外の文献を担当するよう配慮する。 上記の通り関連映画をなるべく多く見ること。とくに東京国立近代美術館フィルムセンターで行われる映画上映並びに映画関連展示に注意を払い、多く見ることを求める。
イメージ分析論Ⅰ
(冬2)
刈間・李 中国映画論を検討する
冬学期は、李道新特任教授と二人で、本講義を担当する。李教授が、中国における最近の映画研究について論じ、刈間がこれにコメントないし討論の材料を提供して、討論型のゼミを行うことで、中国映画に関する代表的な論考を比較検討していく。初回に、中国映画研究の概況を紹介し、現時点における成果と課題を指摘する。それ以降は、李教授の講義をもとに、刈間による問題提起、コメント、討論材料の提示により、ゼミを進行する。現代中国の文芸史についても検討を加える予定である。
上記の通り関連映画をなるべく多く見ること。とくに東京国立近代美術館フィルムセンターで行われる映画上映並びに映画関連展示に注意を払い、多く見ることを求める。
表象技術論Ⅰ
(夏2・冬2)
岩佐 鉄男 アメリカ実験音楽の系譜:ニューヨーク・スクール
1950年代にニューヨークを拠点として活動していたアーティストとしては、ジャクソン・ポロック、ウィレム・デ・クーニング、ロバート・マザウェル、バーネット・ニューマンら、いわゆる「抽象表現主義」の画家たちがよく知られているが、同時期に音楽の分野でもジョン・ケージを中心として、モートン・フェルドマン、アール・ブラウン、デイヴィッド・テュードアらが、まったく新しい音楽の試みをはじめていた。今年度の授業では、ともに「ニューヨーク・スクール」と称されるこの両者の関わりを出発点に、20世紀後半の芸術の動向に大きな影響を与えた彼らの実験精神を考察してみたい。
夏学期は、Steven Johnson(ed.), The New York Schools of Music and Visual Arts (New York, Routledge, 2002)を読むことを中心に授業を進める。章ごとに担当者を決め、発表の後、全員で討論を行う。
冬学期は、ニューヨーク・スクールの音楽家のなかでもとくにモートン・フェルドマンに絞って、彼の著作を手がかりに、作曲活動の分析を行う。英文テクストの講読を中心にして、随時、発表や議論を交えて授業を進める予定。
表象文化史Ⅱ
(夏2・冬2)
一條 麻美子 中央ヨーロッパ文学に見る食文化
「食」を通じて表象される宮廷文化がいかなるものであったのかを文学から読み取る試み。味覚によって表わされる美徳や、食事の儀式などから、「食」が中世人にとって持っていた意味を考える。聖杯物語を主なテクストとして、聖杯の祝宴のさまざまなヴァージョンを分析する。さらに他の宮廷文学の祝宴シーンを比較検討し、関連論文を読む。テクストを全員で読み、問題点について議論する。また平行して関連文献を分担して読み、報告する。
アート・マネージメント論Ⅰ
(夏2・冬2)
浦 雅春 ワシーリー・ローザノフ研究
ドストエフスキー研究史上で「ドストエフスキーと大審問官伝説」で知られるローザノフは、日常の意識のなかに生起する感覚や印象をアフォリズムの形で書きとめ、ジョイスに先立つ意識の流れの散文を生み出し、あるいは D.H.ロレンスに先立つこと四半世紀も前にロレンスを彷彿とさせる独自な性愛論を唱えて、当時のロシア社会に物議をかもした。授業では、「人生において自分は選択というものをしたことがない」と豪語し、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したワシーリー・ローザノフ(1856-1919)の特異な思想に多角的にアプローチする。まずとっかかりとして、英語で書かれたRenato Poggioli. Rozanov(Bowes & Bowes; London, 1957)を講読する。同書によってローザノフの全体像をつかんでもらい、その後、おそらく冬学期からは数少ない英訳の文献を少しずつ読み進める予定。本来はロシア語の原文を読むことが望ましいが、それでは授業の成立が望めないので、もっぱら英文を手がかりに進めるつもり。
冬学期は英文に訳された「現代のアポカリプシス」などを講読の予定。 授業の進め方は割り当てられた英語の文献を毎回受講者が発表する形式を取る。特段、ロシア語が読めることは必要ない。

パフォーミング・アーツ論Ⅰ
(夏2・冬2)
石光 泰夫 芸術作品を理解するとはどういうことか――絵画を中心に
芸術作品を「読解」し、それを概念の言葉で記述するとはいかなる営みであるか。この難問に、ほとんど生理的というしかない等身大の「感動」を哲学的な概念の言葉で記述しようとしたニーチェと小林秀雄の「絶望的な」試みを参照しながら、またそうしたニーチェの「美学」をありえないくらい完膚無きまでに分析しきったハイデッガーの講義も参照しながら、出来るかぎり近くまでにじり寄ってみたい。この作業を、学生諸君からの問題提起を中心にして、行きつ戻りつしながら試みてみたい。
ゴッホの絵の複写に感動して、かつまた模写で何が悪いと居直った小林秀雄の絵画論を手がかりに、絵から鑑賞者に「移っていく」ものが何であるかをまず考える。そしてニーチェのアフォリスム群とハイデッガーの講義(1936/1937冬学期『ニーチェあるいは芸術としての権力への意志』)ならびに論考(「芸術作品の起源」)に軸足を移しながら、小林の『近代絵画』へと考察を進めて行く。 参加する学生諸君からの問題提起を中心にしてディスカッション形式で授業を進める。

表象文化論演習Ⅰ
(夏2)
河合・コットマン シェイクスピアと哲学
シェイクスピアと哲学に関して世界的に第一人者であるポール・コットマン先生(ニューヨーク、ニュースクール大学)をお招きし、その講義を受け、そのあとゼミ形式で参加者がそれぞれ発表を行うことにより、シェイクスピア世界を哲学という側面から考える。4月19日(火)2限を初回とし、4月26日(火)2限と3限、5月2日(月)2限と3限と、変則的に授業数を増やして、ポール・コットマン先生の授業を集中的に受ける。学生からの質問も積極的に受け入れた活発な講義になることを期待する。このあと5月10日(火)から平常通り2限の授業に戻り、河合祥一郎の指導のもとに発表者を決めて哲学的問題について皆で議論をする形でのワークショップを続ける。授業最終日は7月5日の予定。最初の5回は講義、そのあとはゼミ形式になる。
表象文化論演習Ⅱ
(夏2)
中島・パークス Practising Philosophy: A Comparative Attempt
The aim of this course is to let Japanese Philosophy talk about its unique problematique in comparison with European, American, and Chinese Philosophy. This is a joint seminar with Professor Grahama Parkes. He will give participants six different themes as follows: April 26(Tuesday) ‘Dôgen and Nishitani on Practising Philosophy as a Matter of Life and Death‘April 28 (Thursday)' The Kyoto School Thinkers on Nationalism and Internationalism ‘May 10(Tuesday)‘Dôgen, Nietzsche, and Nishitani; Possibilities for Fruitful Dialogue ‘May 12(Thursday) ‘Zhuangzi, Heidegger, and Nishitani: Tensions between Nature and Technology‘May 17 (Tuesday) Video: ‘Thinking in Images ― Doing Philosophy in Digital Video‘May 19 (Thursday) Video: ‘Walter Benjamin's Paris ― Projecting the Arcades' Introduction will be held on April 19.
This is three-hour seminar. Professor Parkes will give participants one-hour lecture. Two-hour discussion will be following it. Video session will be prepared twice. The stay of Professor Parkes is limited in a month. Accordingly, we have two seminars in a week. The participant had better speak and write in English, but it is not a strict condition. It is also welcome to use Japanese. The most important is to join discussion actively. This seminar is combined with Professors Yasuo Kobayashi and Yasunari Takada. The participant of this seminar had better register one of them too.

表象文化論実験実習Ⅰ
(夏2)
田中 純 思想史としての展覧会
昨年度のハラルト・ゼーマン (Harald Szeemann) 研究をふ踏まえ、「思想史としての展覧会/展覧会による思想史」の可能性を探る。夏学期中に何らかのかたちで展示を実現する。実験的な発想を歓迎する。昨年度のハラルト・ゼーマン (Harald Szeemann) 研究について概説し、授業の意図を開設する。テーマや展示方法などに応じて駒場キャンパスで実現可能な展示の企画を立て、受講者全員で分担して制作を行ない、夏学期末までに展示を完成させ、公開する。
導入は講義。昨年度から継続の受講者がいる場合には、昨年度の成果などについて発表してもらう。そのうえで受講者各自による企画立案。その後、共同で実現する企画を選定し、あとは企画格会議と進行状況のチェックやプレゼンテーションを兼ねた打ち合せ。参加者の技能にもよるが、それぞれ担当を決める。一定の締め切りまでの展示完成が共通の使命。なお、田中はプロデューサーとして全体の進行を見守り、内容の最終的な品質管理は行なうが、現場の指揮はディレクターに委ねる予定。授業時間外での労働が当然ながら必要である。覚悟して履修すること。受身の参加は許されない。
表象文化論実験実習Ⅱ
(夏2)
長木 誠司 展示制度としての歌劇場とその変容
宮廷社会から革命と市民社会、および現代への政治史的・社会史的・文化史的変遷のなかで、各地の歌劇場という制度がどのように変化したかを、組織、運営理念、新作委嘱、レパートリー、受容等々の視点から探る。パリ・オペラ座をひとつのモデルとしつつ、それ以外の都市の歌劇場も、履修者の関心や研究テーマに合わせて対象としながら進める。

表象文化論実験実習Ⅲ
(冬2)
松浦 寿輝 時代と近代
「時間」をめぐる表象・意識の問題を「近代性」の諸テーマとの関係において考察する。ボードレール、ダーウィン、E・J・マレー、プルースト、フロイト、ベンヤミン、中江兆民、萩原朔太郎、吉田健一等、「近代性」の諸テーマが特徴的に現われたテクストを順次扱いつつ、そこに通底する「時間表象」の問題を歴史的かつ理念的に分析してゆく。毎回個別のテーマについて講義をした後、討論を行う。