2010年度授業紹介 ── 大学院

講座名 担当教員 講座内容
文化創造論Ⅱ
(夏2・冬2)
小林 康夫 時代と無意識
90年代以降のフェミニズム理論において再複数の目標がありますので開講時に指示します。アートに関する軸とフランス語原文テクストを読む軸と、さらにUTCPプログラムにそった「時代と無意識」セミナーと複数の軸が走ることになりますので開講時に詳しく説明します。
文化制度論Ⅰ
(夏2・冬2)
高橋 哲哉 宗教とディコンストラクション
J・デリダに発するディコンストラクション(脱構築)の思想は、アブラハム的宗教への問いかけを含むと同時に、それ自体の「宗教性」が問われる場面を有している。この授業では、デリダをはじめディコンストラクションの流れに属する論者の宗教論を広く検討していく。J・デリダのテクストから宗教論にかかわるものを選んで精読しつつ、ディコンストラクションの宗教論を探求していく。演習と講義の併用。仏語原典を読むことが中心になるが、多くは英訳があり、仏語が未修でも履修は可能。
文化クリティシズムⅡ
(夏2・冬2)
高橋 宗五 カント『判断力批判』講読
これまでの授業で『判断力批判』の第一部「感性的判断力の批判」をほぼ読み終えましたので、まだ読んでいない序論を読み、カントの哲学体系の中での第三批判の位置づけやカントの哲学体系や歴史哲学の問題を考えたいと思います。但し、今年読む予定の「序論」は、現行の『判断力批判』の序論ではなく、所謂「第一批判」と言われるテクストですので間違いのないようにしてください。例えば、岩波文庫版の和訳では(下)に『付録』として所収してあるものです。これまでのようにドイツ語の読めない方でも、英訳や仏訳など西洋の言語に訳されたテクストを用いて授業に参加することができます。どんどんテクストを読み進めていきます。かなり長いテクストですので、1年では恐らく読み終えることはできないと思います。通常は訳読ですが、何か問題が生じたときにはレポートをして頂くこともあります。
マルチメディア解析Ⅰ
(夏2・冬2)
内野 儀 (夏学期)
アメリカ演劇における「女性」劇作家を研究する
現代アメリカ演劇における「女性」作家による戯曲を過去30年間ほどのスパンで俯瞰する。時代的・社会的環境、理論的文脈、さらにはテクストそれ自体の「解釈」を輻輳させつつ、その戯曲について、何がどう言えるのかを参加者とともに考えたい。現代アメリカの「女性」劇作家の戯曲を毎回一作ずつ読む。
1. オリエンテーション
2. Emily Mann, "Greensboro: A Requiem" (1996)
3. Adrienne Kennedy, "The Alexander Plays" (1992)
4. Anna Deaver Smith, "Fires in the Mirror" (1991)
5. Suzan-Lori Parks, "Fucking A" (2000)
6. Ntozake Shange, "For Colored Girls Who Have Considered Suicide when the Rainbow is Euf" (1975)
7. Beth Henley, "The Crimes of the Heart" (1979)
8. Marsha Norman, "Night Mother" (1983)
9. Wendy Wasserstein, "The Heidi Chronicles" (1988)
10. Paula Vogel, "How I Learned to Drive" (1997)
1. 発表にあたっては、必ずレジメを作成してください。
2. 内容的には粗筋とコメントで30分~45分以内にしてください。
3. 発表内容については基本的には発表者に任されますが、粗筋とコメントの比率は1対1程度にしてください。

(冬学期)
ニューメディア論を読む
近年のニューメディア論の展開を追いかけることが主眼となるが、さしあたりはLev ManovitchのLANGUAGE OF NEW MEDIA (2002) の精読から始め、可能であれば、受講生の興味に従った理論的ないしはジャンル的枠組みにおける近年のニューメディア関連の文献を雑食的に読み進める。出版が予定されているManovitchのINFO-AESTHETIC (2010) が入手可能になれば、引き続き、同書の読解を進める可能性もある。Lev ManovitchのLANGUAGE OF NEW MEDIA (2002) を精読する。毎回20~30頁程度読み進める。
教科書:Lev Manovitch, LANGAGE OF NEW MEDIA(Cambridge, Mass: MIT Press, 2001)
伝統と創造Ⅱ
(夏2・冬2)
ドォヴォス・パトリック
去年に引き続き、フランスの現代演劇風景において奇抜な存在として特出している Valère Novarina の「劇」を読む。彼が提示している言葉の「発芽」プローセスをいかに読み解いて、いかに日本語の中から吸い上げることができるか、と言うチャレンジを試みると同時に、その文学的、思想的な系譜も探っていきたい。彼がいう「話す身体の不思議(神秘)」に接近するには、他の文章(例えば、M.Marzano編 Dictionnaire du corps, 2007年のいくつかの項目)も手がかりとして読む予定。授業は日本語で行われるが、扱うテクストはフランス語で、言語能力が求められる。
文化ダイナミクス演習Ⅰ
(夏2)
松岡 心平 世阿弥能楽論を読む
世阿弥あるいは金春禅竹の能楽論をゼミナール形式で読む。集まるメンバーによっては、内容の変更もありうる。
文化ダイナミクス演習Ⅱ
(冬2)
高田 康成 「ファッション・流行」について考える
内容:「ファッション・流行」をさまざまな角度から考える演習です。その多様性を歴史的に見る一方で、反対概念の「永遠」から逆照射する哲学的な考察を加えつつ、現象学的なアプローチを模索します。
演習方法:参加者の主題的あるいは方法論的興味に応じて発表をしてもらい、討論形式で進める。
主要テクスト:Christopher Breward, "Fashion" (Oxford History of Art, 2003),Carlos M.N. Eire, A Very Brief History of Eternity" (Princeton UP, 2010),九鬼周三『〈いき〉の構造』(1930)
文化ダイナミクス実験実習Ⅰ
(夏2)
清水 晶子 フェミニズム文化批評を読む
フェミニズム理論家Kaja Silvermanの近著、_Flesh of MyFlesh_の講読授業です。精神分析理論を援用したフェミニスト・ビジュアル・スタディーズにおける著作で知られるSilvermanですが、この本では精神分析理論において中心的な役割を果たすエディプスの神話に対し、オルフェウスとエウリディケを巡る物語を軸にしつつ、アナロジーをキーワードにして、死と有限性をめぐる新しい両性の関係と政治を考察しようとしています。授業では、フェミニズム文化理論の分析の語り口に慣れるとともに、現在のフェミニズム理論の潮流の一つをなすこのような一種の接続への模索を検証することをめざします。
イメージ分析論Ⅱ
(夏2・冬2)
中島 隆博 批評理論の現在
東アジアから新たな批評理論を発信する可能性を模索する。東アジアから新しい批評理論を発信するために、諸ジャンル(哲学・文学・美学その他)にまたがって批評理論について討議する。とりわけ、夏学期は近代日本の「啓蒙」に、冬学期は戦後日本の批評に焦点を当てる。毎回一つのテクストを取り上げ、全員で分析を行い、各自が書いたレポートを読み合う。責任担当者がイニシアティブを取って議論を深める形式にする。
表象技術論Ⅱ
(夏2・冬2)
田中 純 思想史としての展覧会:ハラルト・ゼーマンとそのテーマをめぐって
交際的なキュレイターであったハラルト・ゼーマン(Harald Szeemann)によって企画された、ヨーロッパ文化の集団的なオプセッションをテーマにした展覧会(独身者の機械、真理の山、総合芸術作品への志向など)を手がかりに、「思想史としての展覧会/展覧会による思想史」の可能性を探る。夏学期の当初は今回の題目からやや離れて(無関係ではない)、ジョルジョ・アガンベンのテクストを素材に、表象文化論研究の方法について原理的な考察を行う。アカンベンの邦訳文献(『幼児期と歴史』『思考の潜勢力』)とSignatura rerum:Sul metodo(英訳などあり)を用いる。ひき続き、ゼーマンのキュレイターとしての活動を概観したうえで、ゼーマン研究の意義に関して講義を行う。これらを踏まえて、「独身者の機械」展、「真理の山(モンテ・ヴェリタ)」展、「総合芸術作品への志向」展、「幻視のスイス」展、「薔薇のレースのなかのオーストリア」展、「幻視のベルギー」展といった展覧会を思想史の実践として読み解くことを試みる。
アガンベンのテクストについては英訳などを用いて購読する。ゼーマン研究の意義に関しては講義を行う。個別の展覧会は分担して授業中に発表してもらう。
冬学期はゼーマンの活動を「方法」として、その延長線上に「オプセッションの展覧会」を企画したい。ゼーマンの企画した展覧会を思想史の実践として読み解く作業を継続する。そのうえで、思想史としての展覧会を実践すべく、参加者各自がテーマを設定して、ゼーマン流の「オプセッションの展覧会」を企画する。個別の展覧会は分担して授業中に発表してもらう。参加者自身の「オプセッションの展覧会」も授業中に発表する。

表象文化史Ⅰ
(夏2・冬2)
松浦 寿輝 日本の戦後小説
第二次世界大戦以後の日本の長編小説の代表作を十篇ほど選んで講読し、小説芸術の技法と主題の推移に関して一定の理解を得ることを目標とする。語りの形式、現実社会との関係、外国文学からの影響等にも逐次触れてゆくが、最終的には「小説的想像力」とは何かという根本的問題を究明したい。まず大岡昇平『野火』から始めるが、その後どの小説を読むかは受講者と話し合って決めたい。三島由紀夫、丸谷才一、大江健三郎、古井由吉、中上健次などが順次とりあげられることとなろう。基本的に講義の形式をとるが、受講者による発表も歓迎する。
アート・マネージメント論Ⅱ
(夏2・冬2)
長木 誠司 The Vertigo Years を読む
Philipp BlomのThe Vertigo Years. Change and Culture in the West, 1900-1914(2008)を輪読しながら、20世紀の第一次世界大戦までの文化状況について、夢、機械、戦争、速度、ワグネリズムといったさまざまな切り口から考えてみたい。担当者を決め、2回で1章程度のペースで読み進み、半年で1907年までの章を終えたい。同時に、トピックについての隣接的な発表や検討を行う。冬学期は、後半の1914年までの章を読む。

パフォーミング・アーツ論Ⅱ
(夏2・冬2)
河合 祥一郎 パフォーミング・アーツについて書くという実践をめぐって
授業を前半と後半に分け、前半ではシェイクスピアを中心とした演劇についての講義を行い、後半では、上演中の公演について劇評を書く実習をする。学生各自が自ら調べ自ら考えるという姿勢で臨む。最終的に『シアターアーツ』などの演劇雑誌に投稿して採用されるような劇評を書けるように指導する。全員にひと月に一度ぐらいのペースで原稿を提出してもらう。それを合評形式で見直すことで、基本的な論文執筆の作法を確認しつつ、批評の書き方を勉強する。大学院の授業であるので、全出席が大前提。万一、欠席せざるをえない場合は必ず通知をすること。
表象文化論演習Ⅰ
(冬2)
石光 泰夫 ベンヤミンのメディア論とハイデガーの技術論を比較考量し、おのおのを批判する試み
ベンヤミンのメディア論・芸術論は必須文献と化した趣があるが、多くの重大な欠陥があり、その思想史的意義を考察するのならともかく、実際の芸術分析にはほとんど応用することがかなわない。なぜそうなのかテクストをもとにして具体的に検討する。また最近、ハイデガーの技術論が脚光を浴びている。ベンヤミンのメディア論とは全く性質がちがうが、ハイデガー独自の存在論に深くコミットするその技術論はやはり問題だらけであり、しかもベンヤミンの場合と多くの問題が通底する。したがってハイデガーの「技術論」のテクストをも検討して、ベンヤミンのメディア論と比較考量し、両者をともに根底から批判することを試みてみたい。とりあえずテクストを読む。できればドイツ語で読みたいが、集まったメンバーを見て考える。

表象文化論演習Ⅱ
(夏2)
浦 雅春 エイゼンシテイン映画論研究
1930年代から40年代にかけてのエイゼンシテインの著作を読む。前学期に引き続き、まずはエイゼンシテインの「ディズニー論」を丹念に読んでいく。対象となるのは、いわゆる後期のエイゼンシテインの著作で、1930年代から40年代にかけて執筆されたものが中心となる。授業はいわゆる輪読形式となる。この時期のエイゼンシテインの著作は、まだロシア語からヨーロッパ言語に翻訳されたものは少ないが、授業では受講者のことを考慮して、英訳のあるものから読み進めていく。ロシア語の能力は必須ではない。
表象文化論実験実習Ⅰ
(夏2)
岩佐 鉄男 デュシャン《遺作》考
マルセル・デュシャンの《遺作》と称されるÉtant donnés : 1. La chute d' eau, 2. Le gaz d' éclairage…(1946-1966)について、デュシャン自身が残したテクストや、最近出版された大部の研究書 Michael R. Taylor, Marcel Duchamp, Étant donnés (Philadelphia Museum of Art / Yale University Press, 2009)などを手がかりに、さまざまな面から考察する。主として英文のテクストを読み、必要に応じて関連事項についての発表を行う。
表象文化論実験実習Ⅱ
(夏2)
一條 麻美子 20世紀におけるヨーロッパ中世受容
ロマン派による「中世発見」以降の中世受容の歴史を追いながら、現代における中世受容の諸相を探る。授業で扱うテーマとして、以下を予定している。
・ヨーロッパ中世を舞台とする映画
・中世を再現するイベント
・観光と中世
まず中世映画に関する研究文献を読むところから始める。Nickolas Haydock: Movie Medievalism その他
表象文化論実験実習Ⅲ
(冬2)
刈間 文俊
開講時に指示する