2004年度授業紹介 ── 大学院

講座名 担当教員 講座内容
文化創造論II(夏・冬) 小林康夫 作品解釈の方法意味論。臨界的な特異「点」の解釈学について、その歴史的な進展を省みながら、意味組織とその解襞的操作の方法を演習することを目的とする。位相的分析、行為論的分析などを行うことで作品組織の解体的な読解可能性を追求する。
夏学期は原理論とその演習にあてるが、冬学期は各自の分担による分析の実践とする。詳細は開講日(4月14日)に説明する。
文化制度論II(夏・冬) 高橋哲哉 「ヒロシマ・ナガサキ」再考
広島・長崎は2005年に被爆60周年を迎える。「アウシュビッツとヒロシマ:2つのホロコースト」などとも称されながら、「アウシュビッツ」が「絶対悪」の象徴となったのに対して、ヒロシマ・ナガサキの評価・イメージはなお安定していない。既存の観方やレトリックにとらわれず、「ヒロシマ・ナガサキ」において何が問題なのかを、文化的・社会的・政治的その他あらゆる角度から検証する。
演習形式で行うので、調査・発表など受講生の皆さんの積極的な参加を期待する。
参考書等は授業中に指示する。
文化クリティスシズムII(冬) 高橋宗五 昨年に続きカントの『判断力批判』を読みます。今年は第十八節から読み始めます。テクストはHeiner Klemme編集のPhilosophische Bibliothek版(507巻、2001年)を用いますが、別の版でもかまいません。ドイツ語が読めない人は英訳や仏訳版でも結構です。
カントのこのテクストは様々な角度から読むことが出来ます。美学、芸術学、哲学等に関心のある人やこれらの領域における理論的な問題に関心のある人の参加を歓迎します。
マルチメディア解析I(冬) 佐藤良明 本学期はポピュラー音楽に限定せず、映像/メディア文化一般についての一般書や研究論文(すべて英文)を、一章ずつでも幅広く読みつないでいく。数週間のイントロダクションのあと、参加者がそれぞれのテーマで発表するという形をとるが、発表は紙メディアの配布ではなく、プレゼンテーション・ソフト+プロジェクターを介して行ってほしい。インターネットその他から見せる/聞かせるべき題材を探し、それを組み込み、コンピュータを使って人に見せる技術の習得も、課題の一部となる。
伝統と創造II(夏・冬) パトリック・ドゥヴォス モダン・ダンスを考える時に有効と思われるダンス理論、ダンス詩学、身体運動理論の諸問題を扱う数編の論文(L. Louppe, M. Bernard, H. Godardなどの論文やその背景にある哲学のテクストも考えている)を精読し、出来れば、そこから得た理論的なツールを用いて作品分析も行いたい。読む予定の論文はフランス語によるものであるが(従って、ある程度のフランス語能力が要求される)、去年と引き続き、日本の舞踏(土方の言説を中心として)とその具体的な作品についても考察を試みたい。セミナー形式で、学生の積極的な参加(個人の発表)が要求される。
文化ダイナミクス演習I(夏) 河合祥一郎 『エドワード三世』を読む
Giorgio Melchiori, ed., King Edward III, The New Cambridge Shakespeare (Cambridge: Cambridge University Press, 1998)をテクストとして、作品を読み解く(テクストは各自用意のこと)。詳細は初回の授業で説明する。
文化ダイナミクス演習II(冬) 高田康成 スタンレー・カヴェッルと観るハリウッド・メロドラマ
Stanley Cavell, Contesting Tears: The Hollywood Melodrama of the UnknownWoman (1990)を読解テクストおよびひとつの手がかりとして、映画作品Letterfrom an Unknown Woman; Gaslight; Now, Voyager; Stella Dallasの4作品をそれぞれ扱いながら、映画と一般のメロドラマについて考える。
文化ダイナミクス演習III(夏) 松岡心平 世阿弥の能楽論『申楽談儀』をゼミナール形式で読む。
文化ダイナミクス実験実習I(夏) 杉橋陽一 ショーレムの「ユダヤ神秘主義」研究
ゲルショム・ショーレムの主著『ユダヤ神秘主義、その主潮流』(邦訳、法政 大学出版会)に拠りながら、グノーシス主義に近いとされる「ユダヤ神秘主義」を探る。ことにその重要な思想家イツァーク・ルーリアの宗教思想を明ら かにしたい。あわせてベンヤミンの友人であり、パウル・ツェランにも大きな影響を与えたショーレムの独自な思想も見てゆく。ショーレムのテキスト解読が主要な課題になるが、授業の参加者には、ユダヤ神秘主義に関する所定のテーマを選び発表していただく予定である。参考書などは開講時に指示する。
教科書  Gershom Scholem: Die jüedische Mystik in ihren Hauptströ emungen (Suhrkamp)
イメージ分析論II(夏) 中島隆博 死の表象
ここでは、死の表象について論じる。最初は、幾つかの資料を一緒に読むことにし、オルセー美術館で2002年に開催された「最後の肖像展」を収めた Emmanuelle HÉRAN, Le Dernier Portrait, RMN, 2002や、『〈生と死〉と美術』(『美術フォーラム21』第8号、2003年)に収められた西洋美術・東洋美術における死の表象を論じた諸論文の読解から始める。その後、各参加者の問題関心の領域に従って報告を行ってもらい、ディスカッションを通じて、死の表象を論じる今日的な手掛かりを見つけていきたい。
評価は平常点によるので、積極的な参加を求めたい。
表象技術論II(夏・冬) 田中純 「イメージ」概念の再検討をおこなう。
イタリア・ルネサンス美術の肖像画に関するアビ・ヴァールブルクの考察を糸口に、imago, image, representationの物神性にかかわる「イメージ人類学」(ハンス・ベルティング)の諸問題をめぐり、夏学期はとりわけ王(権力者)の肖像を中心に取り上げたい。学期後半は参加者個人の関心に沿った発表を中心とするので、ヨーロッパのみならず、日本やアジアの王権表象についての問題提起を歓迎する。
詳しい授業日程などは開講時に指示する。
表象文化史I(夏・冬) 松浦寿輝 「大ガラス」を読む
明治から昭和に至る言説空間の諸問題を扱う。「法」「民権」「文」「ナショナリズム」などいくつかの主題を考えているが、詳しくは受講者と話し合って決めたい。文学のみならず政治・法律・民俗などの諸領域で近代日本の記号の布置にどのような変化が生じたのかを横断的に考察してみたい。
アート・マネージメント論I(夏・冬) 長木誠司 Martin Clayton, Trever Herbert, Richard Middleton (ed.): The Cultural Study of Music. (Routledge, 2003)を読みながら、問題の射程を概観し、各自の研究にむすびついた積極的な議論を行う。またそれとはまったく別個に、実際の音楽の現場を見学する機会を設けたい。
アート・マネージメント論II(夏・冬) 浦雅春 夏学期はロシアの映画理論書を読む。さしあたってはミハイル・ヤンポリスキーの理論書『テイレシアスの記憶』(Mikhail Iampol'skii. Pamiat' Tiresii: intertekstual'nost' i kinematograf. M., RIK "Kuritura", 1993)をテクストにする予定。
同書は、文学理論の概念である「インターテクスチャリティー」をキーコンセプトに映画理論と映画史の接合を試みたかなり高度な理論書である。授業ではこれを詳細に読んでいく。
冬学期に関してはまだ未定だが、夏学期に引きつづきロシアの映画理論書を読む予定。
パフォーミング・アーツ論II(夏・冬) 内野儀 "performance"という概念が多様な学問分野のキーワードの一つの見なされるようになって久しいものがあります。さらに2003年、 RoutledgeのCritical Conceptsのシリーズの一環として、PERFORMANCE: CRITICAL CONCEPTS IN LITERARY AND CULTURALSTUDIESの四巻本(計89本の論文が収録されています)が出版されたことで、"performance"という概念の系譜学的流れと主題的変容が比較的容易に理解できるようになりました。
この授業では、この四巻本におさめられた論文を批判的に検討するという演習授業を行いたいと思います。まずは、基礎的文献を集めた第一巻からはじめますが、それ以降は、受講者各自の研究的興味にしたがい、読むべき論文を適宜選んで授業で扱うことにします。なお、成績評価は出席と授業における発表とディスカッションの貢献度をベースとし、夏冬学期末に、それぞれ15〜20枚程度のレポートを提出していただき、それらを総合的に判断して行います。
表象文化論演習I(夏) 刈間文俊 中国映画論の現状
中国映画の研究は、各国でかなり進み、多くの論文が発表されるようになった。中国語圏を含めた各国の主要な論著を検討することで、中国映画論の現状を考察したい。中国語履修者であることは問わない。むしろ欧米を含めた幅広い地域分野の学生の履修を歓迎する。学術論著だけでなく、映画パンフやインターネット上の映画論壇も、検討の対象に含めたい。
表象文化論演習II(冬) 一條麻美子 ヨーロッパ中世が近世以降どのようなイメージの下に受容されていったか、アーサー王物語を軸に考察する。研究論文を読みつつ、議論を進めたい。
表象文化論実験実習I(夏) 岩佐鉄男 偶然性の方法
20世紀の芸術創造においては、さまざまな分野で「偶然性」を利用する試みが行われた。この授業では、そのもっとも顕著なあらわれである音楽家John Cageによるchance operationsおよびindeterminacyの方法を中心に、その他のアーティストたちの取り組みについて、理論的な面だけでなく、実践的な側面からも考察してみたい。
表象文化論実験実習II(冬) 石光泰夫 ロマンティック・バレエ復曲の試み
大半が現在バレエのレパートリィから落ちてしまったロマンティック・バレエを復曲するのにどのような作業が必要かを検討する。コンピュータ上での再現なども視野に入れて、文献的作業、実践的作業の両面からアプローチする。文献学的作業の方に重点をかけるので、バレエの知識等、なくてもよい。中心は、プティパによる改訂版ともいうべき『ジゼル』の原曲再現である。
超域文化科学特殊演習I(夏・冬) 滝浪幸次郎 語り物の系譜──義太夫節をきく
いくつかの有名な段をとりあげて、大夫の声と三味線の音が織りなすテクストの分析を試みる。語られるものを支える文字テクストの読みが前提だが、それ以上に語られ方や音楽面に注目し、その作業を通して、「間」や「ノリ」について考察してみたい。