1998年度授業紹介 ── 大学院

講座名 担当教員 講座内容
文化創造論I(夏・冬) 小林康夫 ミシェル・フーコー研究 --Dits et ecritsを中心にして
フーコーの仕事を年代順に追ってみる。翻訳の実践も兼ねるので、原則的に、十分なフランス語の読解能力を受講者に要求する。夏学期は1968年以前、冬学期は1968年以降のフーコーを問題にしたい。
文化制度論II(夏・冬) 高橋哲哉 ディコンストラクションの諸問題
Jacques Derrida,"Comment ne pas parler?","Denegations", in Psyche, Gaillee,1987を中心に見ていく。英訳もあるので希望者は英語でも参加できる。受講生諸君と相談のうえテクストの変更もありうるが、いずれにせよデリダのテクストに即して議論する。
文化クリティシズムII (夏・冬) 高橋宗五 《啓蒙と合理性》・《啓蒙、芸術、道徳》
この授業ではアドルノとホルクハイマーの共著『啓蒙の弁証法』の中の「啓蒙の概念」の賞を読み、啓蒙と合理性のはらむ様々な問題について考えて行きたい。テクストはドイツ語のオリジナルか英訳を使用する。授業は基本的に購読の形式で行う。冬学期は『啓蒙と弁証法』の中の「オデッセウス、あるいは神話と啓蒙」と「ジュリエット あるいは啓蒙と道徳」の二つの補論を読み、合理性の問題が芸術や道徳とどのようにかかわっているかを考える。
マルチメディア解析II(夏・冬) 松浦寿輝 盲目の表象・魂と形式
身体欠損の主題を表象文化史の文脈で解読し、「欠損から聖化へ」の反転メカニズムの理論化の可能性を検討する。谷崎、中上、スタンリー・ドーネン、大森荘蔵、ブニュエルなどにおける「見えないこと」の問題を順次扱っていく予定。冬学期の「魂と形式」は哲学者ルカーチの処女作のタイトルであるが、マルクス主義的アプローチにとらわれることなく、「詩」の生成の場所をめぐる考察を行う。
伝統と創造I (夏・冬) 桑野隆 文化と革命
Katerina Clark,Peterburg: Crucible of Cultural Revolution, Harvard University Press, 1995を、他の文献とも照らし合わせながら読んでいくことにより、文化と革命の関係を再検討に付す。
文化ダイナミクス演習I (冬 ) 杉橋陽一 フロイトの夢理論について
『夢判断』を読み、その内容について、他の資料とも関連づけながら考えていく。
文化ダイナミクス演習II (夏) 高田康成 「主体」の歴史・物語
学際的視点に立つThe Self/the Subject/Subjectivityに関する英文論文を12本ほど読む。
文化ダイナミクス演習III (夏) de Vos, Patrick 『詩学』研究
アリストテレスの『詩学』を読んで"spectaculaire"の概念について考える。
文化ダイナミクス実験実習I (今期開講せず) 河合祥一郎
文化ダイナミクス実験実習 II (冬) 佐藤良明 ヴィデオ制作
オンライン編集による作品制作。Media100とBoris Effectを使いこなし、ヴィジュアル的、サウンド的に濃密な(かつ、できれば教育効果のある)作品を仕上げることをめざす。
表象技術論II(夏・冬) 田中純 記憶/表象/場所
アビ・ヴァールブルクの思想・活動を手がかりとしながら、記憶をめぐる表象技術、およびその場所(空間)との関係を考察する。積極的な参加が強く要求される。
表象文化史I (夏・冬) 中村健之介 ロシア文化の表象 19世紀末から20世紀初頭のロシア諸文化領域の主要な現象、傾向を概観する。中心となる参考文献はJ.Billington,The Icon and the Axe.
アート・マネージメント論I (夏) 浦雅春 ジャーギエレフとアート・マネージメント
20世紀初頭にバレエ・リュスを率いて、バレエのみならずヨーロッパの芸術界に大きなインパクトを与えたジャーギエレフ、その活動はロシアにおける芸術雑誌の発行からヨーロッパにおけるインプレサリオとしての仕事まで多方面にわたっったが、その多面的な活動をおもにアート・マネジメントの面から再検討する。
パフォーミング・アーツ論 II (夏・冬) 長木誠司 ノーノ『プロメテオ』》・《『プロメテオ』に至る道
8月末に行われるルイージ・ノーノの《プロメテオ》初演に向けて、この1980年代の大作の分析を参加者全員で行い、実演に接するための準備を行う。マッシモ・カッチアーリが作成したテクストは、ヘシオドス、ヘルダーリン、ベンヤミンといったさまざまな既成テクストから採られており、それらと音楽の関連がまず問われるが、それ以上に上演空間の問題、ライヴ・エレクトロニック技法の問題など、さまざまな視点からこのモニュメンタルな作品に取り組みたい。冬学期は《プロメテオ》に到る道程を検証するために、ノーノの創作を遡ってたどる。声楽と室内楽の複数の作品を中心に60年代以来の変遷の背後にある制作の底流を見なおしたい。
表象文化論演習II(冬) 一條麻実子 ロマンスの誕生
アーサー王物語を通して、ロマンスの構造について考える。研究論文(英語)を読みながら、原典に触れる。口承文芸がテキストとして成立していく過程を考察したい。
表象文化論実験実習I(夏) 岩佐鉄男 パフォーマンスの理論と実践
パフォーマンスという<ジャンル>を理論的に考察しながら、その制作・上演を実際に体験する。
表象文化論実験実習II (夏・冬) 松岡心平 今春禅竹の翁論
日本の中世的思考の体現者である今春禅竹の翁論『明宿集』をゼミナール形式で読む。
表象文化論実験実習III(夏) 石光泰夫 討論形式によるロマン主義の研究
F.A.Kittlerの著作の英訳(Discourse Networks 1800-1900など)を参照しながら、ロマン主義におけるアクチュアルな問題を、文学や思想にかぎらず造形芸術、オペラ、舞踊まで視野に入れつつ考察する。身体、空間、メディアなどがキーワードである。基礎的なドイツ語の知識ぐらいは随時必要となるはずである。