美術史家の富井玲子氏の令和2年度文化庁長官表彰を記念して、下記のオンライン講演(ウェビナー)を行います。事前登録のうえご参加ください。
講演「現代美術の試験管―内科画廊と1960年代日本の貸画廊制度」
近年、複数のモダニズムという考えが世界美術史で確立されつつある。モダニズムを複数形で考えるということは、どういうことか。それは、ローカルなモダニズムの起源と展開に、ローカルな状況とトランスナショナル・グローバルな交差が二つながらに介在していたとの認識から出発することである。どの地域のモダニズムであれ、普遍性を前提にしては考察を誤ってしまう。なぜなら、往々にして「普遍」なる概念には「欧米への同化」が暗黙のうちに内包されていたからだ。だが、普遍という陥穽を意識していないと地雷を踏むことになりかねない。1960年代日本の美術史にはそうした地雷がいくつもある。「貸画廊」はその一つである。
日時 2021年1月13日(水 )午後7時〜午後9時
講師 富井玲子(美術史家、インディペンデント・スカラー/キュレーター、ポンジャ現懇主宰)
ディスカッサント 池上裕子(神戸大学大学院国際文化学研究科教授)
司会 加治屋健司(東京大学大学院総合文化研究科教授)
主催 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻加治屋健司研究室
共催 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論研究室 /ポンジャ現懇(ポスト1945日本美術ディスカッション・グループ/現代美術懇談会)/日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ
参加費無料、事前登録制(先着順500名)、オンライン講演(ウェビナー)
こちらからご登録ください:
https://zoom.us/webinar/register/WN_FAQlmUthTBuyj4Jya8ClAQ
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富井玲子
美術史家。1988年テキサス大学オースティン校美術史学科博士課程修了。以後ニューヨーク在住、国際現代美術センター(CICA)の上級研究員を経て1992年より無所属で活動。ポスト1945日本美術史研究をテーマにしたグローバルな学術メーリングリスト・グループ「ポンジャ現懇」(2003年設立)を主宰。単著Radicalism in the Wilderness: International Contemporaneity and 1960s Art in Japan [荒野のラジカリズム―国際的同時性と日本の1960年代美術] (The MIT Press, 2016)がロバート・マザーウェル出版賞を受賞、同書をもとに「Radicalism in the Wilderness: Japanese Artists in the Global 1960s [荒野のラジカリズム―グローバル1960年代の日本のアーティスト]」展をジャパン・ソサエティ(ニューヨーク)で企画開催(2019年)。60年代日本を基軸に「響きあい」と「繋がり」の概念を用い、複数のモダニズムを包括する世界美術史の理論的構築を目指している。
池上裕子
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。イェール大学美術史学科博士課程修了。専門は第二次世界大戦後のアメリカ美術とグローバル・モダニズム。主著にThe Great Migrator: Robert Rauschenberg and the Global Rise of American Art (The MIT Press, 2010)。同書の日本語版『越境と覇権:ロバート・ラウシェンバーグと戦後アメリカ美術の世界的台頭』(2015 年、三元社)で第 38 回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞。企画した展覧会に「Shinohara Pops!」(ニューヨーク州立大学付属ドースキー美術館、2012年)、「International Pop」展日本セクション(ウォーカー・アート・センター、2015 年)など。日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴの活動にも携わる。