東京大学のアカデミックハラスメント防止宣言(http://har.u-tokyo.ac.jp/files/user/img/AH_sengen.pdf)は、「東京大学が構成員全員に保障している『その個性と能力を十全に発揮しうるような、 公正な教育・研究・労働環境』を、当事者間の力関係の非対称を背景とする権力の濫用によって破壊したり奪ったりする言動」を広くアカデミック・ハラスメントと認め、その防止と解決に努めることを謳っています。
宣言が指摘するように、大学というアカデミック・コミュニティでは「構成員一人ひとりの自由と自律性」が重要なのですが、同時に、大学には教員と学生、先輩と後輩といった非対称な力関係が存在し、その権力が濫用される危険もあります。むしろ「教育・研究のために多くの自由と自律性が保障されている大学においてはなおさら」そうだと考えるべきなのです。
教育・研究の場における力関係を、構成員の安心感や所属意識、尊厳を脅かす形で濫用し、公正な教育・研究・労働環境を破壊する言動は、ハラスメントにあたります。とくに、多様なバックグラウンドをもつ構成員が、例えば言語能力や文化的差異、所属課程や教育歴のちがいなどにより、安心して議論に参加し教育・研究に従事できる環境が損なわれることは、あってはなりません。
表象文化論コースでは、学術的議論の場であれ大学コミュニティにおける日常生活上であれこのような言動が許されないことを確認するとともに、教員・大学院生・研究生・学部学生を含む全ての構成員に、あらためて注意を呼びかけるものです。