2008年度授業紹介 ── 教養学部後期課程


講座名担当教員名講座内容
表象文化基礎論 (冬2) 松浦寿輝 ポール・ヴァレリーの批評作品を講読しつつ、芸術の諸問題について考察する。何を読むかは初回に受講者諸君と話し合って決めたい。或る水準のフランス語を正確に読む訓練を兼ねたいので、受講者はフランス語既習者に限定させていただく。
表象文化論基礎論演習 (夏2) 高橋宗五 この演習ではイプセンからハイナー・ミュラーに至る近代の戯曲を出来るだけ沢山読みます。イプセン『野鴨』チェーホフ『三人姉妹』ピランデッロ『作者を捜す六人の登場人物』ブレヒト『三文オペラ』と『ガリレイの生涯』か『肝っ玉お母あとその子供達』やサルトル、イオネスコ、ベケット、テネシー・ウィリアムズ、アーサー・ミラー、マックス・フリッシュ、デュレンマット、ハイナー・ミュラー等の戯曲を読む予定です(変更の可能性あり)。テクストは文庫版で入手可能なものを用いますが、そうでない場合はこちらでコピーを用意します。
表象文化構造・機能論 (冬2) 中島隆博 近代東アジアにおける儒教表象
近代東アジアにおいて儒教がどのように表象されてきたのかを、クラシカル・ターンという概念のもとで検討していく。具体的には、戦前の日本・韓国の儒教表象と、最近の中国の儒教表象を比較対照していく。
参加者の数にもよるが、基本的にはテクストを読解し、それについて発表してもらう。そしてそれを踏まえて討論を行う。なおテクストは、Warren Smith, Confucianism in Modern Japan, Hokuseido Press, 1973を主要テクストとし、それに付随する文献をあわせて読む。
表象文化相関論 (夏2) 高橋哲哉 聖書「創世記」第22章のアブラハムによるイサク奉献の物語は、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の伝統のみならず、その影響下にある文化領域全般にわたってインスピレーションを与え続けてきた。この物語をめぐって、現代の思想、文化の中でどのような試みが提起されているかを見ていく。
表象文化史 (夏2) 高田康成 西洋近代美学史の古典であるHogarth, The Analysis of Beautyを読みます。
表象文化史演習 (夏2) 小林康夫 バロックと古典主義
バロックという問題系の基礎演習を行う。基本文献を読み、基本的な作品を知ることが目的。リーディングリストを課す予定。(リストと文献は授業内で指定する。)成績は出席点とレポート。
なお、前学期のわたしの講義の履修者には、前学期の講義を今学期にも継続すると述べたが、諸般の事情で夏の学期には、継続しない。
表象文化論実習I (夏2) 杉橋陽一 学術論文の書き方入門
卒論がはじめて学術論文を書く機会になるという学生の皆さんのため、表題のような授業を開講します。授業は、はじめに私の方から、できれば例を例示しながら、そのための基本的な諸ルールの説明を行います。そしてあらかじめテーマの調整を行った後、参加者から所定のテーマの小論文を提出してもらい、主として形式上の観点から問題点を見出し、順次それらについて討議・検討をおこない、参加者の論文執筆のスキルを高めたいと考えています。成績は、出席回数と、一度提出した小論文の改訂版の提出を参考としてつける予定です。
表象文化論実習II (冬2) 表象文化論各教員 この授業は「オムニバス」と呼ばれ、表象文化論に所属する教員7名程が2回ずつ交替で、それぞれの専門に近い講義を行うものである。分科へのイントロダクションとして、後期課程における研究の方向づけに役立つはずなので、表象文化論に進学の内定した学生は必ず受講すること。もちろんその他の学生も、学科・学年を問わずに歓迎する。教員名とテーマ、講義内容などは10月はじめに掲示するので注意しておくこと。
舞台芸術論I (夏2) 河合祥一郎 シェイクスピア喜劇の傑作『夏の夜の夢』を原語で声を出しながら読んでいく。シェイクスピアを原語で読む楽しさを満喫する。大修館シェイクスピア双書『夏の夜の夢』を教科書とするが、すでに何らかの版を持っている場合は、手持ちの版でかまわない。†毎回の授業参加態度と最終レポートないし試験による。
舞台芸術論II (冬2) パトリック ドゥヴォス 開講時に指示する。
伝統芸能論I (夏2) 野村萬斎 狂言の「型」を使った表現の授業を、ワークショプ形式で行います。声・身体を使って表現・発散をし、伝統的な日本の表現方法を体感・体得して頂きます。
*授業に際しては必ず足袋を用意してください。また、動きやすく汚れてもよい服装で参加してください(スポーツをするつもりで来て下さい)。持っている人は扇も持参して下さい。
造形空間芸術論I (夏2) 松浦寿夫 近代芸術の歴史的および理論的な次元の分析。
造形空間芸術論II (冬2) 田中純 「近代デザイン史研究」

1.授業の目標・概要 昨年度に引き続き、近代デザイン史の基礎知識を修得したうえで、現代における「デザインへの欲望」について考察する。グラフィック、エディトリアル、ファッション、クラフト、プロダクトの各デザイン、および建築などについて、何が「良い」デザインなのか、そのデザインが喚起する欲望(購買欲、所有欲)とは何なのかといった問題を、具体的な対象に即し、表象文化論的に分析することを試みる。

2.授業の方法
文献講読については担当者を決め、レジュメを作成のうえ、レポートをしてもらう。参加者が一学期間に1回は発表をおこなう予定。中心となる文献のほかにも、関連する参考文献などの調査、関連するイメージの収集といった作業が必要になる。そのほかに、各自が対象となる「もの」を絞り、そのデザインをめぐる生産・流通・消費のメカニズムやそこに向けられた欲望の様態について分析した発表を同様の形式でおこなう。

3.成績評価方法
履修と単位取得のためには、原則として次のすべてを必須とする。1)授業における発表(1回):全体評価の約50%。2)レポート(8000 字):自分が授業で発表したテーマに関するもの。論文としての形式(註など)を整えて書くこと。締め切りは卒業予定者とそれ以外とで異なる(学期末に指定する)。全体評価の約40%。3)出席点:言うまでもなく、規則的な出席と議論への参加が強く要求される。毎回必ず出席を記録する。全体評価の約10%。
音響芸術論I (夏2) 長木誠司 オペラ/アンチ・オペラ/アンチ・アンチ・オペラ
20世紀後半のオペラの流れをB. A. ツィンマーマンの《軍人たち》、マウリシオ・カーゲルの《国立劇場》、ジェルジ・リゲティの《ル・グラン・マカーブル》の3作品を中心に再考する。このうち、ツィンマーマンとリゲティは、それぞれ2008年5月、2009年2月に日本初演が予定されているので、それを体験する準備としつつ、それを体験した経験をも活かしながら積極的に授業に参加してほしい。個人発表という形式も有意義に用いたい。参考文献等は授業中に指示する。
映像芸術論I (冬2) 崔洋一 私のメディア、私の映画
1本の映画の作り方に関わるいくつかの価値観と運動性に関してのテキスト。
映像芸術論II (冬2) 刈間文俊 中国の映画表象と文化
中国映画史の上で重要な作品を取り上げ、その表象がもつ文化的な意味を考察する。「民族英雄の表象の変遷」、「文学の映画化と差異」、「中国映画の独自の表象とは」、「東アジアの映像マーケットの形成と相互浸透」等のテーマが、講義内容として想定されている。詳しくは開講時に紹介する。
言語芸術論I (冬2) 一條麻美子 「メルヘン」のテキストを対象に、様々な研究アプローチ(民俗学的、社会史的、心理学的、文芸学的 etc.)の可能性を考察する。はじめに一つの作品についての分析を参加者全員で行った後、その方法論を当てはめた分析を各自に発表してもらう予定。
言語芸術論II (夏2) 清水晶子 Queer Studies in Japanese Context
Growing out of the Anglo-American cultural/political context in the 1990s and strongly influenced by the Western feminist theories (especially those written in English language), queer studies has nonetheless been ‘imported’ to various other localities and cultures. This has never been a simple one-way process where the ‘imported’ theories and ideas can be seen as distinct from the ‘local’ practices, but rather a dynamic transaction where the one affects and changes the other as it is itself affected and changed by the other.
The objective of this course is to understand this transaction in Japanese context, through a critical reading of some materials on Japanese LGBTQ situations written in English, on one hand, and the reading of materials specifically dealing with the issues of cultural translation in queer context.
#All the lectures and discussion will be in English, and the mark will be decided. #Assessments will be based upon engagement in discussions and presentation in class, and an end-of-the-term essay. #The list of the reading materials will be given in the first class.
表象文化論特殊講義I (冬2) 松岡心平 能のテキストをゼミナール形式で読む。実際の能楽鑑賞に合わせて曲を選択したい。
表象文化論特殊講義II (冬2) 松浦寿夫 近代芸術の歴史的および理論的な次元の分析。
表象文化構造・機能論演習 (冬2) 内野儀 過去10年間にアメリカ合衆国のアカデミー賞作品賞を受賞した映画作品を1回にⅠ作品ずつ取りあげ、詳細に検討してゆきます。具体的には、一般観客的な印象批評から映画についての専門的研究への橋渡し的な意味合いを込め、受講者にはそれぞれの専門的興味に従い、一つの作品を特定の切り口と方法論によって批評・分析する内容の発表を行っていただきます。授業では映画を見ることはせず、担当者の発表とそれに基づくディスカッションを行いますので、各自が当該の映画を見てくる(あるいは、すでに見ている)ことが授業参加の前提になります。第1回の授業はオリエンテーション、第2回目には入門的な映画研究のエッセイの具体例(第1回授業時にコピーを配布)を検討し、3回目以降は受講者による発表とする予定です。教科書は定めませんが、3回目の授業までに北野圭介著『ハリウッド映画100年史講義—夢の工場から夢の王国へ』(平凡社新書)を読んでくることを必須とします。成績評価は出席と授業における発表とディスカッションの貢献度をベースとし、学期末に自分の発表とディスカッションに基づく400字詰め原稿用紙10〜15枚程度のレポートを提出していただき、それらを総合的に判断して行います。
表象文化相関論演習 (冬2) 浦雅春 チェーホフの四大戯曲を読む。
『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』の四つの戯曲を深読みする。戯曲ごとに個々に読むのではなく、それらの作品を横断的にいくつかのテーマにしたがって分析していくことになる予定。授業はおもに講義形式で行うので、上記の戯曲を読んでおくのが授業出席の前提となる。
表象文化論特殊研究演習I (冬2) 岩佐鉄男 開講時に指示する。
表象文化論特殊研究演習II (夏2) 石光泰夫 表象文化論的テクスト分析の試み
日本の近世・近代の文学から厳選されたテクストをとりだして、そのテクスト分析を試みる。主眼は文学史ではなく、あくまでも新しいテクスト理論の構築であるが、それを個々のテクストを分析しながら、達成できるように努力してみる。表象文化論的な観点を多く加味したテクスト理論がどれほどユニークなものたり得るかを確かめてみる好機であろう。どのような形でも、まずきっかけとしてのテクスト分析が必要なので、学生諸君の積極的な演習参加を期待したい。
表象文化論特殊研究演習III (夏2) 高橋幸世 「オーディオの逆襲」
この演習では、映像のサウンドトラックに注目し、さまざまなアート表現で問題になる視覚的要素と聴覚的要素の関係性を、サウンドの側から探っていきます。授業では、実際に複合的なオーディオ-ヴィジュアル作品を、グループ作業+個人作業を通して制作します。準備段階としてデジタルビデオを使った映像の撮影・編集も行いますが、中心になるのは映像にサウンドをつける段階になります。さまざまな音のカテゴリーや機能を理解しながら、音作りや音採集の手法に触れ、サウンドがヴィジュアルにもたらす力を作品の中で実験していきます。最終日には、作品の公開プレゼンテーションあり。音と視覚、複合的アートのクリエーションとその分析に興味のある全ての学生対象(経験不問)ですが、短期間での作品制作になるので、スタジオ作業への積極的な参加が条件です。詳細なシラバスは開講時に指示します。

参考文献:Audio-Vision: Sound on Screen, Michel Chion, Columbia University Press 1994 成績評価方法:授業への出席、小課題の提出、作品制作、レポート提出