2007年度授業紹介 ── 教養学部後期課程


講座名担当教員名講座内容
表象文化基礎論(夏) 石光泰夫 身体論の基礎
身体は基本的に分節できないものだが、言語的な分節をできるところまでしてみないとどこで限界に突き当たるか、どこから言語の光の届かない闇におちこんでいくのかがはっきりしない。したがってこの授業では、様々な身体論を検討しつつその限界を見定める作業を行う。それはまた、総体として、身体という現象と言語の関係を模索し、その関係を見極めようとする試みでもある。
授業は演習形式で行い、出来るだけいろいろな分野からのテクストを採りあげるようにする。また表現する身体、もしくは表象される身体の諸相を具体的に検討してみて、その基底にある身体論を抽出し、それを批判的に検討するという作業も頻繁に行う。そのため映像資料も出来るだけ多く観るようにする。
・成績評価:平常点とレポート
表象文化基礎論演習(夏) 一條麻美子巨人と小人
登場人物が通常とは異なるサイズの体格を持つ作品、サイズの変化を体験する作品を取り上げ、そこに繰り返し現れる問題(大きさ/小ささに対する価値判断、大きさ/小ささを表現する手段など)について考えます。文学作品に限らず、絵画や映画、広告など、様々なジャンルを対象とします。履修者の報告・発表をもとに討論する形式で、授業を進めたいと思います。 使用文献:授業中に指示する
・成績評価:平常点およびレポート
表象文化構造・機能論(冬) 長木誠司技法としての日本映画音楽
主として1940年代から60年代までの日本映画における音楽の機能を、構造論的・意味論的に検討する。作曲家としては早坂文雄、深井史郎、伊福部昭、芥川也寸志、武満徹、林光あたりがメインになるが、特定の監督と作曲家の関連についても考察の対象とする。受講者各自がひとつの対象を選んで、発表形式を取ることを考えており、それをもって成績評価の基準とする。
参考文献:ミシェル・シオン『映画にとって音とはなにか』(勁草書房)
表象文化相関論(冬) 高田康成Adam Ferguson, An Essay on the History of Civil Society(1767)講読
「スコットランド啓蒙主義」を代表するファーガソンのテクストを読みながら、「近代」と「プリミティズム」と「歴史」等の問題を考えると同時に、Garveによる独訳との関係から派生する思想史的問題も取り扱ってみたい。
参考文献:F. Oz-Salzberger(ed.), (Cambridge UP, 1995)
・成績評価:平常点と学期末レポート
表象文化史(夏) 刈間文俊 中国映画を概観する。1905年に北京の写真館で京劇が撮影されて以来、100年の歴史を有する中国人による映画制作は、どのような歴史を歩んできたのか。優勢な外来芸術である映画が、悠久の文明をもつ国に進入するとき、映画は中国に何をもたらし、そして中国は映画に何を与えたのだろうか。100年の歴史をまとめてみよう。
表象文化史演習(冬) 田中純近代デザイン史研究
1.趣旨:近代デザイン史の基礎知識を修得したうえで、現代における「デザインへの欲望」について考察する。グラフィック、エディトリアル、ファッション、クラフト、プロダクトの各デザイン、および建築などについて、何が「良い」デザインなのか、そのデザインが喚起する欲望(購買欲、所有欲)とは何なのかといった問題を、具体的な対象に即し、表象文化論的に分析することを試みる。

2.授業の方法:文献講読については担当者を決め、レジュメを作成のうえ、レポートをしてもらう。参加者が一学期間に1回は発表をおこなう予定。中心となる文献のほかにも、関連する参考文献などの調査、関連するイメージの収集といった作業が必要になる。そのほかに、各自が対象となる「もの」を絞り、そのデザインをめぐる生産・流通・消費のメカニズムやそこに向けられた欲望の様態について分析した発表を同様の形式でおこなう。

3.評価方法:履修と単位取得のためには、原則として次のすべてを必須とする。1)授業における発表(2回):全体評価の約50%。2)レポート(8000 字):自分が授業で発表したテーマに関するもの。論文としての形式(註など)を整えて書くこと。締め切りは卒業予定者とそれ以外とで異なる(学期末に指定する)。全体評価の約40%。3)出席点:言うまでもなく、規則的な出席と議論への参加が強く要求される。毎回必ず出席を記録する。全体評価の約10%。

4.授業日程、参考書:授業日程は開講時に示す。 教科書:柏木博編『近代デザイン史』(武蔵野美術大学出版局)
表象文化論実習I(夏) 松浦寿輝詩の読みかたをめぐって、様々なアプローチを試みる。主題、書法、歴史、思想など、複数の角度から詩的テクストの意味作用を浮かび上がらせてみたい。素材としては主に日本とフランスの近代詩を扱う(受講者はフランス語の知識があることが望ましいが必須ではない)。成績評価は、1)授業中最低1回の簡単な口頭発表、2)学期末提出のレポート——という2つの条件を両方満たしてもらうことを前提とする。
・成績評価:発表およびレポート
表象文化論実習II(冬) 表象文化論各教官この授業は「オムニバス」と呼ばれ、表象文化論に所属する教官が約7名、2週間ずつ交代で、それぞれの専門に近い講義をします。分科へのイントロダクションとして、今後の勉強の方向付けにも役立つはずなので、表象文化論に進学の内定した2年生は必ず受講すること。その他の学生も、学科・学年を問わず歓迎します。教員名と講義内容は、10月はじめに掲示します。
・参考文献:『表象のディスクール』[全6巻](東京大学出版会)
・成績評価:レポート
舞台芸術論I(夏) 内野儀 映画研究入門
映画研究は長らく行われてきた学問分野でありながら、日本では未だ市民権を学会的/社会的に得ているとはいいがたい分野です。この授業では、そうした現状をふまえ、映画研究の基本テクスト Pam Cook&Mieke Bernink(eds.). The Cinema Book 2nd Edition(London:British Film Institute.1999)を教科書にして、「映画研究とは何か?」という問題について、受講者の皆さんと考えていきたいと思います。具体的にはこのテクストを毎回担当者に分担して発表してもらうという演習形式を取ります。成績評価は、その発表に加え、出席と授業への貢献度、期末試験とレポートによって行いますが、後期英語として受講する場合には、レポート提出の義務はありません。詳しくは開講時のオリエンテーションで説明しますが、受講希望者はできれば教科書を入手しておいてください。コピー配布も考えています。
・使用文献:上記参照
・成績評価:上記参照
伝統芸能論I(夏) 観世銕之丞主として、港区青山(表参道近く)の銕仙会舞台で、実際の能舞台、能装束、能面、作り物(舞台装置)などを見せ、解説する。 簡単な謡や舞の実技指導も行う。江戸時代中期から続く観世銕之丞家についても話したい。場合によっては実演も行う。全体として、能の世界を身をもって体感してもらう授業となるだろう。
・成績評価:出席を重視する。レポートも必要。
伝統芸能論II(冬) 松岡心平開講時に指示する。
造形空間芸術論I(夏) 岩佐鉄男Readymade, etc.
マルセル・デュシャンが創始した<レディメイド>は、美術のみならず、その後の芸術の展開に大きな影響を与えた。この授業では、デュシャンが残した作品とメモを手がかりに、その思考の跡をたどるとともに、オリジナル/コピー/アプロプリエーション、モノとコトバなど、<レディメイド>が指し示す問題圏をさまざまな角度から考察してみたい。
・使用文献:開講時にリストを配布する。
・成績評価:レポート
造形空間芸術論II(冬) 松浦寿夫 スティーブン・スピルバーグ『宇宙戦争』考察
本学期は1960年前後のアメリカ美術を、モダニズムの批評体系との関連で検討することを課題とする。GreenbergならびにFriedの批評活動を、同時代の美術作品の分析と平行して検討する予定。なお、参考文献は教室で指示する。
・成績評価:学年末のレポート
音響芸術論I(夏) 杉橋陽一授業のカテゴリー(音響芸術論)と矛盾するようだが、今学期は「論文の書き方」をテーマに取り上げる。論文を書く上で生じる形式上の諸問題や、論をどのようなかたちで展開するべきか、といった問題に取り組む予定。参加者には小論文を書いて発表してもらい、執筆の際生じた問題をも交えて、参加者たちで討論しあい、論文を書く能力・スキルを伸ばしたい。参加者の数によっては、音楽関係のテーマに戻る可能性もある。
・使用文献:必要に応じ授業中に指示する
・成績評価:平常点
映像芸術論I(冬) 浦 雅春 エイゼンシテインの映画理論に関する著作を読み、彼の理論的考察の射程をさぐる。エイゼンシテイン自身の著作を読むことになるか、エイゼンシテインを論じた文献を読むかは未定。いずれにしても文献は英語のものを取り上げる。
映像芸術論II(夏) 崔 洋一 私のメディア、私の映画
1本の映画の作り方に関わるいくつかの価値観と運動性に関してのテキスト。
・成績評価:平常点とレポート
言語芸術論I(夏) 河合祥一郎シェイクスピアの『マクベス』を読む。質の高い授業をしたいので、予習ができずに授業の空気を乱す人はご遠慮ください。3回欠席した時点で受講意欲なしと見なし、名簿から抹消します(特殊な事情がある場合は必ず相談を)。参加者が決まった時点でグループ分けし、分担を決めるので、当てられたところは必ず詳しく予習し、音読できるように練習しておくこと。学生諸君の準備が十分でなければ、作品の精神的世界乃至その表象へと思考を馳せることができない。
・使用文献:教科書は、大修館シェイクスピア双書『マクベス』
・成績評価:最終試験を予定している。平常点も当然加味する。
言語芸術論II(冬) 高橋宗五18世紀の英独仏にはそれぞれの国でベストセラーになった小説があります。リチャードソンの『クラリッサ』、ルソーの『新エロイーズ』、ゲーテの『ウェルテルの悩み』がその代表作です。これらは奇しくも総て書簡体小説です。現代では流行らないジャンルですが、この書簡体小説とは何かを特に『ウェルテル』の分析を通して考えてみたいと思います。
授業は基本的に講義形式で行いますが、途中で何回かレポートをして頂く予定です。どのような形でレポートをして頂くかについては、最初の時間に参加者の皆さんと話し合いをして決めたいと思います。授業中にドイツ語の原文を読むこともありますが、ドイツ語は必ずしも読める必要はありません。テクストは原文でも翻訳でもよいですから、またどの版でも結構ですから、授業の始まる10月初旬までに各自入手しておいてください。
・成績評価:冬学期が終わってから提出されるレポート
表象文化論特殊講義I(夏) 松浦寿夫本学期は1910年前後のフランス近代絵画のいくつかの局面を、その歴史的および理論的な水準で検討することを課題とする。Bonnardおよび Matisseを主たる検討の対象とする予定だが、その作業の遂行に際しては、つねに対比の項としてCezanneの存在を視野においておきたいと思う。なお、参考文献は教室で指示する。
・成績評価:学年末のレポート
表象文化構造・機能論演習(冬) 小林康夫ポエジーについて
「詩」作品を読む。なるべく多くの、異なった種類の「詩」を読解する。読解の方法に自覚的になるための演習。
・使用文献:特になし
・成績評価:レポートと発表の総合による。
表象文化相関論演習(夏) 高橋幸世 耳の劇場を作る
この演習では、映画、演劇、ダンス、インスタレーション等のさまざまなアート表現で、しばしば副次的にしか扱われない「聴覚的要素」に光をあて、聞くこと/聴覚的想像力 (auditory imagination) を出発点としたアート・クリエーションの可能性を、実際に複合的なオーディオ—ヴィジュアル作品を作りながら探っていきます。授業では、音・からだ・空間のエクササイズを通して、パフォーマンスの基本となる体/感覚作りも行います。授業の最終日には、制作した作品の公開プレゼンテーションを行う予定です。音と視覚、複合的アートのクリエーションとその分析に興味のある全ての学生対象。詳細なシラバスは開講時に指示します。 使用文献:特になし
・参考文献:Audio-Vision: Sound on Screen, Michel Chion, Columbia University Press 1994 『シネマトグラフ覚え書き—映画監督のノート』ロベール・ブレッソン著, 松浦寿輝訳, 筑摩書房 1987
・成績評価:授業への出席、小課題の提出、最終作品のプレゼンテーション、レポート提出
表象文化論特殊研究演習I(夏) 高橋哲哉 犠牲(サクリファイス)の論理の研究 国家・社会・宗教など人間の共同性を貫く犠牲(サクリファイス)の暴力と、それを語る論理とレトリックを批判的に分析、考察する。
Jesse Goldhammer, The Headless Republic, Sacrificial Violence in Modern French Thought, Cornell University Press, 2005.をさしあたりの手がかりとするが、ベンヤミン、デリダ、ニーチェ、ヘーゲル、バタイユらの「犠牲」をめぐる哲学・思想にも注目したい。資料はコピーして配布する予定。
・使用文献:授業中に紹介する
・成績評価:授業での報告および期末レポート
表象文化論特殊研究演習II(冬) パトリック・ドゥヴォス 開講時に指示する。
表象文化論特殊研究演習III(冬) 中島隆博ここでは、統治の表象について考える。具体的には、中国において統治がどのように表象されてきたのかを、テクストと映像を通じて考察していく。
J.G.A. Pocock, Politics, Language, and Time: Essays on Political Thought and History, the University of Chicago Press, Chicago and London, 1971-1989.を用いると共に、ドキュメンタリー・フィルムを見て、議論する。
議論への積極的な参加と、レポートにより成績評価する。
表象文化論特殊研究演習IV(冬) 清水晶子 フェミニズム視覚文化論入門
映画理論の重要な一角を占めるフェミニスト映画理論をはじめとしたフェミニズム視覚文化論の入門として、Amelia Jones (ed.) The Feminism and Visual Culture Reader (London and New York: Routledge, 2003) から、基本的な文献を選んで読んでいきます。毎回担当者を決めて発表をしてもらい、それに基づいて疑問点などをディスカッションしていく方式を取ります。詳しくは初回オリエンテーションにて説明しますが、担当者は言うまでもなく参加者も、必ずテクストを予習した上で授業に参加してください。
・使用文献:上記参照(コピー配布)
・成績評価:担当回の発表、毎回の授業への貢献度、およびレポートによる