2005年度授業紹介 ── 教養学部後期課程


講座名担当教員名講座内容
表象文化基礎論(冬) 中島隆博哲学と国家 中国と日本の近代において、哲学が国家をどのように表象してきたのかを論じていく。中国からは王国維・胡適、日本からは西田幾多郎・丸山真男・竹内好のテクストを取り上げ、それらを読解しつつ議論を深めていきたい。
・成績評価:平常点とレポートによる。
表象文化基礎論演習(夏) 高田康成 Shakespeare’s King Learと黒澤明の『乱』について いまや国際的に陳腐とまでになった、上記の比較検討を飽きることなく行います。まずは、Shakespeareの読解も黒澤作品の分析も、比較を念頭におかないで、それぞれ個別に詳細に検討します。その上で、最後に重ね合わせる形で、比較検討を試みます。演劇作品の読み方、映画の見方、それぞれの基礎を学んでもらいたいと思います。 教科書:Shakespeare, King Lear (Oxford World Classics; Arden Shakespeare; New Cambridge Shakespeare; Penguin Shakespeareのいずれかの版を使用。国内版は不可。)
・成績評価:毎回の議論への参加および学期末の筆記試験にて評価
表象文化構造・機能論(夏) 松浦寿輝都市空間と表象 文学と映画における「東京」の表象について考察する。夏目漱石『彼岸過迄』から村上春樹『アフターダーク』までの様々な小説、成瀬巳喜男監督『妻よ薔薇のやうに』から是枝裕和監督『誰も知らない』までの様々なフィルムにおいて、近代日本のメトロポリスがどのように描かれてきたのか。「都市空間とその表象」という大きな問題にアプローチするための一ケーススタディとして、幾つかの視点を提示してみたい。かなり多くの書物を読んでもらうことになるので、その覚悟のある者のみ受講されたい。
・成績評価:レポートによって行う
表象文化史(夏) 一條麻美子 ニーベルンゲン伝説の受容 ニーベルンゲン伝説をもとに創作された作品を文学、美術、音楽等のジャンルを横断しつつ見ていきたい。まずサガのテクストから原型となる物語を抽出し、それがどのように受容されていったのかを、時代背景と共に追っていきたい。ワーグナーを経て、ナチスドイツによる受容から戦後の作品まで到達できればと考えている。 教科書及び参考文献=初回の授業で指示する
・成績評価:平常点およびレポート
表象文化史演習(冬) 田中純 1900年前後のウィーンの表象文化史——「装飾」の問題
1.趣旨:1900年前後のウィーンは、20世紀以降の文化・芸能・思想に多大な影響を残すこととなったさまざまな動向が集中的に生じた時代環境である。本演習では、すでに研究の蓄積のあるこの主題について、前半は古典的な研究書に基づく基礎的な知識の涵養を集中的にはかり、後半は近年の研究を参照しつつ、「表象文化史」としてのあらたなアプローチを試みる。鍵概念となるのは「装飾」である。
2.授業の方法:担当者を決め、それぞれの論考についてレポートをしてもらう。参加者が一学期間に最低1回は発表をおこなう予定だが、人数によってはワーキング・グループに分ける。
3.評価方法:履修と単位取得のためには、原則として次のすべてを必須とする。
1)授業における発表:レジュメを作成し、必要に応じ視聴覚機材を用いて、わかりやすいプレゼンテーションを、与えられた時間内でおこなうこと。内容とともにパフォーマンスを評価対象とする。全体評価の約25%。 2) レポート1(8000字):自分が授業で発表した内容に関するもの。冬休み前に発表した者と冬休み後に発表した者とで提出時期を分ける。論文としての形式(註など)を整えて書くこと。全体評価の約25%。
3) レポート2(8000字):授業全体に関わるものとして全員共通のテーマを設定する予定。締め切りは卒業予定者とそれ以外とで異なる(学期末に指定する)。論文としての形式(註など)を整えて書くこと。全体評価の約30%。
4) 出席点:言うまでもないが、規則的な出席と議論への参加が強く要求される。毎回必ず出席を記録する。全体評価の約20%。
4.授業日程、参考書:冬学期開始前に掲示するが、基本図書として:池内紀『ウィーンの世紀末』(白水社)、池内紀編『ウィーン:聖なる春』(国書刊行会)、カール・E・ショースキー『世紀末ウィーン:政治と文化』(岩波書店)、W・M・ジョンストン『ウィーン精神』(みすず書房)など。
表象文化史演習(冬) 松岡心平 能のテキストをゼミナール形式で読む。実際の能楽鑑賞に合わせて曲を選択したい。
表象文化論実習I(夏) 河合祥一郎 シェイクスピアの『リア王』を原文で「本読み」をする。すなわち、芝居にするための解釈・議論を交えつつ、感情を込めて演じるようにセリフを読んでいく。ローレンス・オリヴィエ主演の映画(ヴィデオ)も参照するが、主体はあくまで議論。予習をして議論に参加することを絶対条件とする。熱意ある人の参加を求める。 参考文献=『シェイクスピアは誘う』『シェイクスピアへの架け橋』
・成績評価:参加度を主とし、試験を副とする
表象文化論実習II(冬) 表象文化論各教官 この授業は「オムニバス」と呼ばれ、表象文化論に所属する教官が6〜7名、2週間ずつ交代で、それぞれの専門に近い講義をします。分科へのイントロダクションとして、今後の勉強の方向付けに役立つはずですので、進学の内定した2年生は必ず受講するようにしてください。その他の学生も、学科・学年を問わず歓迎します。教官名と講義内容は、10月はじめに掲示します。 参考文献=表象のディスクール[全6巻](東京大学出版会)
・成績評価:試験(後日、解答を提出する形式)
舞台芸術論I(冬) 浦雅春 近代ロシア演劇を立ち上げた演出家スタニスラフスキーとメイエルホリドが演劇において何をめざしていたかを、彼らの残した著作から検討を加える。
教材には日本語および英文のテクストを用いるが、詳細については開講時に指示する。
舞台芸術論II(夏) 高橋宗五 この授業では前学期に続き二十世紀後半の主にヨーロッパの戯曲を読みます。予定している作家としては、サルトル、イオネスコ、ベケット、デュレンマット、マックス・フリッシュ、ペーター・ヴァイス、ハイナー・ミュラー等ですが、誰のどの戯曲を読むかは最初の授業の際に相談して決めたいと思います。 尚、この授業は客員教授として来日予定のフランクフルト大学のレーマン教授のヨーロッパ演劇史におけるアンティゴネーの系譜を辿るゼミ(9月26日と27日に開講予定:使用言語、独語、英語、日本語)と一体になっており、ゼミの参加者はこのゼミにも出席して頂くことになります。
伝統芸能論I(冬) ?飛 開講時に指示する。
伝統芸能論II(夏) 観世清和 能楽ワークショップ 謡、仕舞の実技を通じ、また面、装束(衣装)、作り物(舞台装置)等に触れることによって、現代に生きる伝統文化としての能を実践的に理解することを目指します。
造形空間芸術論I(夏) 松浦寿夫 本学期は主として、1910年代の近代絵画の諸局面の分析作業を中心に進める。具体的には、セザンヌの作品群への参照の様態を検討することとなるが、単に作品の様式的な次元での波及現象の分析にとどまることなく、この参照の試みが何らかの理念的な言説の体系を構成していく様態に注目する。いくつかのテクストを取り上げ、コピーを配布する。参考文献は授業中に指示する。
・成績評価:学年末のレポートにより行う。
造形空間芸術論II(冬) 松浦寿夫本学期は1950年代から60年代の絵画作品を主たる検討の対象とする。アメリカ抽象表現主義の形成とその変貌を造形的な水準と同時に、モダニズムの理念的な体系化の水準の両面で検討する。いくつかのテクストを取り上げ、コピーを配布する。参考文献は授業中に指示する。
・成績評価:学年末のレポートにより行う。
音響芸術論I(夏) 佐藤良明 この授業で「音響芸術」とは「心のなかに音を響かせる芸または術」を意味する。そこでいう音とは、歌詞を乗せた声、及び背景の楽音である。要するにレコーディングされた歌を取り上げ、それらの歌を心に響かせる歌手や演奏家のルーティンや個人技に耳をすますこと。それができるようになるためには、その歌を身体的に咀嚼しなくてはならない。手っ取り早くいうと、歌わなきゃダメ——というわけで、この授業では「歌を覚える」ことに重点を置く。毎回三曲ほどの課題曲を課すことにしよう。アメリカ科の授業でもあるので、ほとんどがアメリカの歌になる。20世紀のアメリカ・ポピュラー音楽は、わたしたちの日常に生き続けるさまざまなジャンルの歌を生んだ。その多様な歌のそれぞれに体当たりしていくなかから、アメリカという国に生きた人々の心情を疑似体験したかのような感覚を分かち持つことが、この授業の目標である。なおインタネットへのアクセスは必須。
教科書及び参考文献=英文のネット情報を最大限活用する
・成績評価:授業の参加度プラス期末レポート
映像芸術論I(夏) 青山真治 「映画にとって監督とは何か」
映画作品が作られるためには監督という存在が必要、といわれている。本当にそうなのか。では、監督とはいったい何をする者なのか。具体的な作品の画面を見ることで、「監督」が作品に残す刻印を検証する。八月上旬の夏休み中の集中講義(四〜五日・一日2コマ)の形を取らせていただきます。
参考文献=不要
・成績評価:出席取ります。
言語芸術論I(冬) 松岡心平能の代表的なテキストをゼミナール形式で読み進める。併行して能楽堂での能楽観賞も行う。
・成績評価:出席とゼミナールでの発表
表象文化論特殊講義I(冬) 小林康夫 テクストとその批評
20世紀後半のいわゆるフランスを中心とした批評ならびに言語理論の仕事が可能にしたテクスト分析の基礎を実習的講義形式で概観する予定。作品分析の基礎的な方法論を検討する予定である。
教科書及び参考文献=未定
・成績評価:レポートの予定
表象文化論特殊講義II(夏) 高橋哲哉デリダと宗教
ジャック・デリダの思想において「宗教」はどのように考えられているのか。この問題にアプローチするために、Jacques Derrida, Acts of Religion, Routledge, 2002に編者のジル・アニジャールが付した序文Gil Anidjar, Introduction: “Once More, Once More”: Derrida, the Arab, the Jewを読むことから始める。英文テクストはコピーして配布する。
参考書=高橋哲哉『デリダ 脱構築』講談社、¥1500
・成績評価:平常点およびレポート
表象文化構造・機能論演習(夏) 内野儀映画を観る/読む
特定の文化圏、特定の時代にとらわれずに、映画を観る/読むという趣旨の演習授業を展開したいと思います。具体的には、一般観客的な印象批評から映画についての専門的研究の橋渡し的な意味合いを込め、受講者にはそれぞれの専門的興味に従い、一つの作品を特定の切り口と方法論によって批評・分析する内容の発表を行っていただきます。授業では映画を見ることはせず、担当者の発表とそれに基づくディスカッションを行いますので、各自が当該の映画を見てくる(あるいは、すでに見ている)ことが授業参加の前提となります。そのため、参加者にはご自分がどの映画で発表するかを開講前に決めていただきますが、その際、他の受講者の便宜を考え、一般のレンタルショップで借りられるある程度ポピュラーなものを指定してください。各自の発表では、映像資料を用いても構いませんし、できればパワーポイント等のプリゼンテーション・ソフトに慣れておくという意味で、PCでの発表をお願いします。
第1回の授業はオリエンテーションで、発表の順序、扱う作品を調整し、第2回目には入門的な映画研究のエッセイの具体例(第1回授業時にコピーを配布)を検討し、3回目以降は受講者による発表とする予定です。教科書は定めませんが、フィルムアート社の『新映画理論集成』を参考書とし、できれば開講時までに通読しておいてください。成績評価は出席と授業における発表とディスカッションの貢献度をベースとし、学期末に自分の発表とディスカッションに基づく400字詰め原稿用紙10〜15枚程度のレポートを提出していただき、それらを総合的に判断して行います。
表象文化相関論演習(冬) 刈間文俊開講時に指示する。
表象文化論特殊演習I(夏) 岩佐鉄男 開講時に指示する。
表象文化論特殊演習II(夏) パトリック・ドゥヴォスフランス語によるテクスト(哲学から運動論まで、多様なジャンルに属するモダン・ダンスやコンテンポラリダンスを論じた文章を選ぶ予定)を精読しながら、ダンス批評の諸問題を考えてみたい。
表象文化論特殊演習III(夏) 石光泰夫踊の身体——近代以降
バロック期における帝王の舞踊以降、舞踊の歴史をさまざまに彩った身体をできるだけ多く採りあげて、その様態をさまざまな角度から検討してみる。そのとき問題になる身体はダンサーに固有のものであったり、原作者やコレオグラファーが夢想したものであったり、もっと外的に神話や風俗から借りてこられたものであったりするだろう。そのそれぞれの身体の在り様と、その身体の必然性を、隣接する文学や造形美術、音楽、思想などからのインパクトを十分に考慮しながら、そのつど明らかにしようとするのが本授業の課題である。そのさいにできるだけ多くの映像ソフトが参照されるようにしたい。また参加者からの積極的な個別発表も多くを期待したい。
・成績評価方法:平常点(個別発表)もしくはレポート
表象文化論特殊演習IV(冬) 宮沢章夫開講時に指示する