2012年度授業紹介 ── 大学院


授業科目名 担当教員 授業内容
文化制度論Ⅰ
 
高橋 哲哉 「赦し」とディコンストラクション 
後期のJ・デリダはいくつかの「不可能なもの」に向けた問いを先鋭化した。贈与、歓待、正義などと並ぶ「不可能なもの」の一つ「赦し」について、ディコンストラクション(脱構築)の視点から考察する。今学期は、デリダも論じているV・ジャンケレヴィッチの「赦し」の哲学を綿密に読解していく。
文化クリティシズムⅡ
 
高橋 宗五 Georg LukacsのDie Theorie des Romans (1914/15) 講読 
歴史哲学に基づく文学理論の最高の到達点のひとつを示す本書を、歴史的な文脈(Querelle des Anciens et des Modernes, SchillerやFriedrich Schlegel等の美学理論)やLukacsのほかの著作やBenjaminのUrsprung des deutschen Trauerspielsにおける受容の問題等を視野に入れながら読んでゆく。
マルチメディア解析Ⅰ
 
内野 儀 ニューメディア論を読む[winter]
Seth Giddings & Martin Lister (eds.), THE NEW MEDIA AND TECHNOCULTURES READER (London: Routledge, 2011)に収められた論文を基本的には順番に読み、近年めざましい展開を遂げているニューメディア論の射程と深度を現時点で把握しておくことを本授業の目標としたいと思います。
伝統と創造Ⅱ
 
ドゥヴォス  パトリック  
この授業では、ダンスについてフランス語で書かれた批評や理論的テクストを読む予定である。ダンスは20世紀の特別な芸術的なパラダイムとなった。それまでただの娯楽かマイナーな芸術だったダンスが、モデルニテに移行すると、詩人のマラルメやヴァレリーから哲学者のジャン・リュック・ナンシーまで、ダンスは、特にフランスにおいて、思考の特権的なトピックとなったが、それはなぜだろうか。身体という「媒体」が、思考の他者であれば、ダンスは哲学的な対象になり得るかも知れない。このような問題系の糸口として、モダン・ダンスの成立において重要なモメントになった、ニジンスキーの『牧神の午後』を考えることから出発したい。この作品についての研究のみならず、モダンまたはコンテンポラリー・ダンスにおけるその「受容」を見ることも重要である。セミナー形式で読んでいく論文は、S. Hecquet & S. Prokhoris著『Fabriques de la danse』、I. Launay & S. Pages著「Memoires et histoires en danse」から始める。できれば関連のある映像を観て、その分析を行う。
文化ダイナミクス演習Ⅰ
 
松岡 心平 世阿弥能楽論を読む
世阿弥あるいは金春禅竹の能楽論をゼミナール形式で読む。集まるメンバーによっては、内容の変更もありうる。
文化ダイナミクス演習Ⅱ
 
高田 康成 「徳」について考える
「徳」/Virtueについて、歴史的および比較文化的な視点から考察を行う。言うまでもなく、「徳」は、洋の東西を問わず、最重要の概念である。歴史的には、17-18世紀の西欧におけるvirtue概念を重点的に、比較文化的には、「徳」との関係に焦点を当てながら、基礎的な考察を行う。
文化ダイナミクス実験実習Ⅰ
 
清水 晶子 クィア理論とAIDS
クィア理論はその出発点から英米(特に合衆国)におけるエイズ流行と密接に関連していた。この授業では、主に80年代から90年代半ばにかけてのAIDSについてのクィア理論の論考をあらためて読み直すことを通じて、「感染」「変性」「恐怖」、それに対する「制御」や「セキュリティ」、そして「共生」などをキーワードに、私たちがクィア理論から何を学び、私たちの生きている現代の社会とどうかかわっていくのかを、考えて行きたい。
イメージ分析論Ⅱ
 
中島 隆博 中国の表象、表象の中国
現在の中国研究者が中国をどのように表象しているのか、またこれまで日本において中国がどのように表象されてきたのかを探究する。

 
日本と中国における「古」の表象
日本と中国における「古」の表象を概観し、東洋的ロマン主義の形を探る。
表象技術論Ⅱ
 
田中 純 アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』解読を通じたグローバル複合文化論の展望
アビ・ヴァールブルク晩年のプロジェクト『ムネモシュネ・アトラス』を多面的に(文化史・美術史的のみならず、メディア論的、系統学的など)分析し、そこに胚胎されたグローバル複合文化論の展開可能性を探る。
アート・マネージメント論Ⅱ
 
長木 誠司 コンピュータ音楽の理論と実践
PC環境でのコンピュータ音楽の現在を知るため、文字資料等にあたるとともに、簡単なプログラミングや実作を行う。
パフォーミング・アーツ論Ⅱ
 
河合 祥一郎 シェイクスピアの「テクスト」とは何か?
『リア王』の2つのテクスト、及びシェイクスピアが書いたとされる『サー・トマス・モア』など、問題のあるテクストを題材にして、シェイクスピアのテクストそれ自体のアイデンティティを問いながら、シェイクスピアを読む。丁寧なテクスト読解を第一の目標とするが、その行為自体を問い質す批評性を身につけたい。
表象文化論演習Ⅰ
 
石光 泰夫 文字の考現学(メディア論)
言葉はたしかに文字以前からあったが、文字に書かれるようになってその分節作用にいかなる変化が生じたか。メディアとしての文字は、他のメディアとのいかなる差異を生きているか。そうした問いを、文字に加えられた根本的な省察のいくつかを参照しながら、深い射程で問うてみる努力をする。言語についての究極の哲学的な問いにふさわしい問い方はいかにして可能になるか。その見極めが本授業の課題である。
表象文化論演習Ⅱ
 
浦 雅春 ワシーリー・ローザノフ研究
ドストエフスキー研究史上で「ドストエフスキーと大審問官伝説」で知られるローザノフは、日常の意識のなかに生起する感覚や印象をアフォリズムの形で書きとめ、ジョイスに先立つ意識の流れの散文を生み出し、あるいはD. H. ロレンスに先立つこと四半世紀も前にロレンスを彷彿とさせる独自な性愛論を唱えたが、今もなおその思想が解き明かされているとは言いがたい。授業では、「人生において自分は選択というものをしたことがない」とうそぶき、徹底した受動性を貫いた稀代の思想家ローザノフ(1856-1919)の特異な思想を、彼の代表作『落ち葉』を頼りに読み解いていく。
表象文化論実験実習Ⅰ
 
岩佐 鉄男 アメリカ実験音楽の系譜:ジェームズ・テニー
1960年代以降、独自の理論にもとづいて音楽活動を展開したアメリカの作曲家ジェームズ・テニー(1934-2006)について、その理論と作品の両面から考察する。テニーは情報理論、確率論、ゲシュタルト理論、認知科学など、科学的な理論を適用した多彩な作品を、器楽とコンピュータ音楽の分野で残している。また一方、1961年にイリノイ大学に提出した修士論文「メタ+ホドス」は、独自の視点から音楽の素材と形式を分析した画期的な研究として、ケージをはじめとする音楽家たちからも大いに注目されている。

表象文化論実験実習Ⅱ
 
一條 麻美子 芸術作品を理解するとはどういうことか――絵画を中心に
ベルナール・ド・クレルヴォーのテクストを原典講読する。

表象文化論実験実習Ⅲ
 
刈間 文俊 中国映画論を検討する
中国映画研究からいくつかのテーマを選び、各自の発表と関係論文の検討と討論を行う。テーマとして「日中戦争と映画」、「日中のアニメーション比較と文化的背景」、「中国映画とジェンダー」が想定されているが、受講生の関心に応じて、新たなテーマが追加される。先行研究を踏まえて自分の意見を述べる訓練と討論の力を磨くことを目標としたい。