2007年度授業紹介 ── 大学院

講座名 担当教員 講座内容
文化創造論I(夏・冬) 清水晶子 クィア理論入門
1990年代からのジェンダー・セクシュアリティ研究の非常に大きな一翼を占めてきた「クィア理論/研究」の基礎的な文献を学びます。夏学期にこの分野での基本文献である Abelove, Berale&Halperin(eds) The Lesbian and Gay Studies Reader (New York and London: Routledge, 1993)からの論文を出来る限り読み、その理解をもとに、冬学期にはより最近の文献を参照しつつ、クィア理論/政治のあり方を検討していきます。夏学期のテクストは極力各自入手しておいてください。冬学期の文献は夏学期終了時の参加者の希望もとりいれて決める予定です。毎回担当者が論文のまとめとコメントを発表し、それに基づくディスカッションで授業を進めますので、担当回以外も文献を必ず予習してくることが必須です。評価は、夏・冬二回のレポートと、発表を含む授業への貢献度とに基づきます。
文化制度論I(夏) 杉橋陽一 前学期にひきつづき、テーオドーア・W・アドルノの『否定弁証法』の原書講読(ドイツ語)をおこなう。第二章「否定弁証法」の「崩壊の論理」の筋をさらってから、先を読み進む予定。
文化クリティスシズムI(夏・冬) 高田康成 Giorgio Agambenを読む
まずは以下のテクストを中心にして講読を進める。 Potenitialities: Collected Essays in Philosophy (ed. & trans. by D. Heller-Roazen)(Stanford UP, 1999); Stanzas: Word and Phantasme in Western Culture (trans. by R. L. Martinez)(U of Minnesota P, 1993) とりあえず英訳を使用するが、原語あるいは和訳がお好みであれば、それも構わない。
マルチメディア解析I(夏) 内野 儀 メディア研究の現在
メディア研究の多様な同時代的展開の一端に触れることを目的とします。その端緒として、James Curran & Davie Morley(eds.), Media and Cultural Theory (London: Routledge, 2006)に収録された論文を片っ端から読んでゆくという作業をしようと思います。参加学生の
伝統と創造I(夏・冬) 松岡心平 世阿弥の能楽論(『花鏡』、『至花道』、『二曲三体人形図』のあたり)をゼミナール形式で読み進める。ただし、初回のメンバーによっては変更もありえる。
文化ダイナミクス演習I(夏) 高橋哲哉 宗教とディコンストラクション
表題のような問題関心のもとで、J・デリダのテクストを読み進める。今期は、Derrida, J., Foi et Savoir, Les deux sources de la "religion" aux limites de la simple raison, Editions du Seuil, 2000を読み進めながら、現代において「宗教」をいかに問うべきかを考察していく。仏語が読めなくても参加は可能。
文化ダイナミクス演習II(冬) 高橋宗五 これまでカントの『判断力批判』を読んできました。29節まで読み終え、次は「純粋な感性的判断の演繹」論、つまり30節からですが、今年度の授業は半年だけですので、演繹論の部分を読み終えることは到底不可能です。そこで今年度は第三批判の講読は一時中断し、第三批判とも関係のある所謂歴史哲学に関係したカントの以下の緒論文を読みます。
1. Idee zu einer allgemeinen Geschichte in weltburgelicher Absicht; 2. Rezensionen von J. G. Herders Ideen zur Philosophie der Geschichte der Menschheit; 3. Mutmasslicher Anfang der Menschengeschichte; 4. Uber den Gebrauch teleologischer Prinzipien in der Philosophie; 5. Uber den Gemeinspruch: Das mag in der Theorie richtig sein, taugt aber nicht fur die Praxis; 6. Das Ende aller Dinge usw.
文化ダイナミクス演習III(冬) 小林康夫/td> これまであまり論じてこなかった問題設定を考えてみる実践形式の演習の予定。詳細は開講時に討議して決める。
文化ダイナミクス実験実習II(夏) ドゥヴォス パトリック 開講時に指示する。
イメージ分析論I(夏・冬) 刈間文俊 中国の現代文化を考える
現代中国の文化をどう考察すればよいか。Geremie BarmeのIn the Red: On Contemporary Chinese Culture, Columbia University Press, 1999をひとつの視座として、同書を読みつつ、関連する資料を比較検討し、文革後の中国文化の変遷について考えてみたい。
表象技術論I(夏・冬) 岩佐鉄男 音楽のモダン
20世紀後半にJohn Cageらによって展開された実験的音楽の先駆けともいうべき、1920-30年代アメリカの音楽について考察する。夏学期はCageの師でもあった Henry Cowell、冬学期はCageとはちがった意味で《音響の組織化》を行ったEdgar Vareseを中心に、その周辺の音楽家たちを取り上げてみたい。最初はCarol J. OjaのMaking Music Modern(Oxford University Press,2000)を手がかりに、20年代ニューヨークの音楽シーンを概観する予定。
表象文化史II(夏・冬) 一條麻美子 中世の視覚文化
「大聖堂は石とガラスで書かれた聖書である」(E・マール)と言われるように、視覚的イメージとテクストとの関係は、中世ヨーロッパの中で重要な問題となっている。この授業では関連する文献を読みつつ、視覚的イメージを通して(文学)テクストの再解釈を試みたい。「テクストとイメージ」という問題に関係する中世の言説の検討と、研究論文を読むことを並行して進めていきたい。
アート・マネージメント論I(夏・冬) 浦雅春 1930年代の後半、エイゼンシテインは1920年代のラジカルな(あるいは単純な)芸術理論と決別して、「芸術心理学」とでもいうべき分野を開拓しはじめた。それは芸術全般を視野に入れながら、新たな映画理論を構築しようとする試みであったように見える。
1930年代のエイゼンシテインの叙述はそれが解明しようとする理論的思考に見合って複雑で錯綜しており、そのロシア語は生半可な理解では歯が立たない。実際どこまで解読できるか心許ないが、近年出揃いはじめた草稿出版の資料などを手がかりにしながら、そうしたエイゼンシテインの理論的著作を丁寧に読み解いていきたい。
なお、この授業は今後数学期にわたって継続することになる予定である。授業ではもっぱらロシア語の文献を読むことになる。
パフォーミング・アーツ論I(夏・冬) 石光泰夫 キットラーの仕事-ディスクール分析の現在-
表象文化論の哲学的基礎をなす思想家といえば、フランス系思想のフーコーやデリダなどが喧伝されることが多いのだが、そのフーコーもデリダをも激しく論難するフリードリヒ・キットラーの表象文化論の要諦はいったいどこにあるのか。四部作で構想されている『音楽と数学』の第一巻が刊行されたいま、キットラーのギリシアとギリシア語への回帰は露わで、初期のラカン派構造主義からはずいぶん遠いところに来てしまったようにもみえるが、そのキットラーのまったく独自なディスクール分析によってそもそもいかなるパラダイムの変換がもたらされたのか。キットラーの仕事を最初期から最新作に至るまで、その哲学的基盤の検証を中心に検討してみたい。キットラーの仕事の性質上、そこに精神分析学、メディア論、身体論など、様々な表象文化論的関連分野との関係を見通す視座を設定せざるを得ないのは自明であろう。
授業は講義ではなく、演習形式で行いたい。また冬学期は、情報学環との合同授業になるので、テーマを変えることにする(内容は未定)。
表象文化論演習I(夏) 田中純 人文学のモデルとしての「考古学」と「自然史=博物誌(Natural History)」について考察する。前者についてはフロイトにおける無意識の考古学的探求、ベンヤミンにおける近代性の考古学、フーコーの「知の考古学」と言説分析などがテーマになりえよう。導入としてKnut Ebeling und Stefan Altekamp; Die Aktuakitat des Archaologischen in Wissenscaft, Medien und Kunsten. Frankfurt am Main: Fischer, 2004を用いる予定(だが、ドイツ語の能力は履修条件とはしない。後者に関しては、三中信宏『系統樹思考の世界』(講談社現代新書)を糸口に「系譜学」の方法論について扱いたい。それは博物「誌」から進化論的な自然「史」へのNatural Hitoryの転換を踏まえ、人文知における歴史の科学性を問い直すことである。前史時代研究への系統学的分析の導入などによって考古学と自然史は方法論的な次元で現に結びつきつつあり、授業では二つの方向からのアプローチを緊密に関連づけたい。夏学期だけで扱うにはいささか欲張りなテーマ設定のため、必要に応じて補講を行う。
表象文化論演習II(夏) 松浦寿輝 フランスの作家・哲学者サルトルの長編小説『嘔吐』をフランス語で講読し、小説技法、時代思潮、文学と思想の関係など様々な問題を考察する。外国語の文学テクストを原語で精読・味読する訓練を兼ねたいので、受講者はフランス語既習者に限定する。成績評価は、授業中の発表と学期末のレポートという両方の条件を満たすことを前提とする。
表象文化論実験実習I(夏) 長木誠司 オペラにおける物語性と女性表象
Carolyn AbbateのUnsung Voices: Opera and Musical Narrative in the Nineteenth Century (Princeton University Press, 1996)を輪読しながら、19世紀以降のオペラにおける物語性および女性表象の問題を考察する。テクスト読解を基本に置くが、実際の作品を映像で見たり、実演に接する機会も設け、同時に内外の各種オペラ批評を読み合わせながら、音楽劇作品に対する批評的視点の在処をも検討対象にする。
表象文化論実験実習II(夏) 中島隆博 声のミクロロジー
この授業では、文学・哲学テクストと映像を交差させながら、「声」とりわけ子供の声と女性の声について探求する。その際、「自然主義」に還元されることのない「声」の可能性とは何であるのかを主な論点としたい。最初の数回は、こちらで準備した材料にもとづいて議論を行うが、残りは出席者の関心に応じた発表にあてる。
表象文化論実験実習III(冬) 河合祥一郎 大学院で一体何を学んできたのだ!テクストの読み方もわかっていないじゃないか!という怒号を浴びたくない学生のために、この授業では、テクストを読むとはどういうことかを実験=実体験してもらう。テクストの読み方、発表の仕方、論文やレポートの書き方などの基本を確認しつつ、textual criticismの何たるかを身につけることを目的とする。題材は特定せず、どんなジャンルでもOKとする。学生同士が刺激し合う場にもなってほしい。前もってJerome McGann, A Critique of Modern Textual Criticism (OPACにあり)を読んでおくことを薦める。
超域文化科学特殊演習I(夏・冬) 滝浪幸次郎 近世の演劇
歌舞伎や文楽の作品を読みながら、視聴覚資料も活用し、近世の演劇について考察する。具体的にどの作品を扱うかについては、初回の授業のときに参加者と相談して決定する。
この演習は、留学生を対象としています。