2005年度授業紹介 ── 大学院

講座名 担当教員 講座内容
文化創造論I(夏・冬) 河合祥一郎 シェイクスピアの評伝(Stephen Greenblatt, Will in the World)を読むことから始め、シェイクスピアの男と女をめぐる表象について批評を読み進む。以上、夏学期。冬学期については受講者の希望を聞いて決定する
文化制度論I(夏・冬) 杉橋陽一 グノーシスの20世紀のドイツでの展開
20世紀前半にあらわれたハンス・ヨーナスの画期的なグノーシス研究によって、研究者ギルドの部外者にもグノーシスの世界が一応見渡せるようになったが、この研究を参照すると、偉大なカバラ研究者ゲルショム・ショーレムや、その他の思想家たち、たとえば、ベンヤミン、アドルノ、ブルーメンベルクなどの仕事も従来とは違ったふうに見えてくるようである。
昨年は、ショーレムのルーリアに関する論考を講読したが、本年度夏学期は、はじめにヨーナスのグノーシス論を一望して、まずは、そのルーリア論も見直し、上記思想家たちの仕事もそのかかわりにおいて見てゆく予定である。参考文献などについては第一回目の授業のときに示し、授業の進め方は参加者と相談したい。冬学期は、「近代ドイツは古典ギリシア狂いであったか」というテーマで、18世紀後半のヴィンケルマン以降の特異なPhilhellenismという現象を扱う予定である。
文化クリティスシズムI(夏・冬) 高田康成 越境的知性改善論
[夏学期]
Stanley Cavellの映画論(The World Viewed, 1971)と哲学・文芸論(The Claim of Reason, 1979)を併読しながら、ジャンルあるいはカテゴリーの壁を超える仕方について考える。」
[冬学期]Fabriano Fabbri(ボローニャ大学DAMS)氏を迎え、20世紀芸術(絵画・音楽・文学)を横断する超ジャンル的思考の問題を共に考える。(ファッブリ氏の講義は英語で行われる。)
参考文献: Stanley Cavell, Cities of Words (Harvard, 2004) Fabriano Fabbri, Alieni e alienati: L’Espressionismo fra le due guerre (Aracne, 2004) Idem., I due Novecento…gli anni venti fra arte e letteratura: Bontempelli versus Sarfatti (Manni, 2003)
マルチメディア解析II(夏・冬) 佐藤良明 Thomas Pynchon, Gravity’s Rainbow (1973)を丸一年かけて講読します。Penguin版が求めやすいでしょう(最後のページ番号が760ならどの版もオーケー)。Steven Weisenburger, A Gravity’s Rainbow Companionも用意してください。この本にさらに情報を加えていくような読み方をしたい。冬学期からの参加も可能なように計らいます。
伝統と創造I(夏・冬) 松岡心平 世阿弥の能楽論『申楽談儀』をゼミナール形式で読み進めたい。ただし、集まるメンバーによって、変更もありうる。
文化ダイナミクス演習I(夏) 河合祥一郎 『エドワード三世』を読む
Giorgio Melchiori, ed., King Edward III, The New Cambridge Shakespeare (Cambridge: Cambridge University Press, 1998)をテクストとして、作品を読み解く(テクストは各自用意のこと)。詳細は初回の授業で説明する。
文化ダイナミクス演習I(夏) 小林康夫 表象文化論入門
この授業は、表象文化論のコース会議で平成17年度修士課程入学生の必修授業に指定されています。それ以外の学生も受講できますが、原則的に修士課程学生のために表象文化論の基本的な考え方を教える基礎講義の性格をもっています。
内容は、表象文化論研究にとっては避けることのできないモダニティの問題を19世紀のフランス文化を出発点にして20世紀後半のニューヨークの文化に至る経路を辿りながら概観しつつ、テクストやイメージ、空間装置などの読解演習も部分的に行います。授業は講義形式が中心とならざるをえません。試験による評価も考えています。
文化ダイナミクス演習II(冬) 高橋哲哉 「死刑」という問題
先進国/発展途上国という分類は、死刑廃止国/存置国という分類と、ほとんど重ならない。世界の81カ国があらゆる犯罪に対して死刑を廃止した今日も、日本、米国、中国等は死刑を存置している。「死刑」は先進国においても途上国においても、社会のセキュリティとの関連で、また「生命の尊厳」との関連で、重要な論争問題であり続けている。「死刑」という問題について、思想的に問う。
文化ダイナミクス演習III(冬) ドゥヴォス パトリック アントナン・アルトーの古今
アルトーの演劇論を読むと同時に、その主な解釈や「後継者」の仕事も検討してみたい。フランス語で書かれた文献を扱うので、フランス語で読める能力が必要です。ゼミナー形式で授業を行う予定で、学生の積極的な参加が要求される。
文化ダイナミクス実験実習I(冬) 高橋宗五 昨年に続きカントの『判断力批判』を読みます。崇高論の後半部分第二十八節から読み始めます。テクストは基本的にFelix Meiner社より出ているHeiner Klemme編集のPhilosophische Bibliothek版を用いますが、別の版でもかまいません。また、ドイツ語の読めない方でも英仏露語などの翻訳で授業に参加することもできます。初めて授業に出る人は出来るだけ『判断力批判』の二十七節までを読んでおいて下さい。
イメージ分析論I(夏・冬) 刈間文俊 2005年は中国人による映画製作の100周年にあたり、従来は未見だった20世紀前半の映画雑誌が多く復刻された。これらの雑誌を検討することで、社会主義以前の中国映画史に新たな光をあててみたい。中国語未修者にはそれなりの配慮をする予定である。
表象技術論I(夏) 岩佐鉄男 「大ガラス」を読む
20世紀前半を代表する美術作品のひとつ、マルセル・デュシャン(1887-1968)の《花嫁は彼女の独身者たちによって裸にされて、さえも》(通称「大ガラス」)を多面的に読み解く。『グリーン・ボックス』『ホワイト・ボックス』『ノート』などのメモ集や駒場でのレプリカ制作作業の資料群、そして多岐にわたるデュシャン解釈の研究論文などを手がかりに、ガラスの上で展開される観念と物質のドラマを解明してみたい。
表象文化史II(夏・冬) 一條麻美子 ゴットフリート・フォン・シュトラースブルクの『トリスタン』を読む
中世ヨーロッパで成立したトリスタン物語の一つであるゴットフリートの作品を読む。この作品は単なる恋愛物語ではなく、芸術論、道徳論、宗教論など幅広い言説を含んでいるので、それらに注目しつつ、中世文学の多面性を立ち上げていきたい。テキストには中高ドイツ語のオリジナルテキストに加えて、現代ドイツ語訳、日本語訳を用いる
アート・マネージメント論I(夏・冬) 浦雅春 (夏学期)ロシア演劇史の基本的資料であるルドニツキーの著書《Russian and Soviet Theatre》(英文)を参考に、革命をはさむロシア演劇の流れの変化をたどりなおす。 (冬学期)夏学期のロシア演劇史の流れを受けて、トピックとなる個別のテーマを掘り下げる。従来革命期の演劇ではメイエルホリドが中心になりがちであったが、今回はタイーロフやエヴレイノフの演劇的試みも扱う予定。
パフォーミング・アーツ論I(夏・冬) 石光泰夫 神話の身体表現——18・19世紀を中心に
近代西欧の造形芸術(絵画、彫刻、建築など)、舞踏、音楽、文学などにおいて神話が参照されるとき、異教の神々の身体は、それ以前の、たとえばキリスト教などとも調和した美しい透明性を誇示していたのにくらべて、はるかに屈折した、かつ不透明な陰影を帯びることになった。そのようなアベラシオンを必須とする神話の身体を、それでも、あるいはそれだからこそ近代の表象芸術が参照する必然があったとしたら、それはいかなる理由によるものか。またそのつどのアベラシオンのあり方は必要に応じてさらにどのように変奏されていったか。
そのような問いを神話学、宗教学、哲学思想(とくに身体論)などを援用しながら考えつめてみようとするのが本授業のテーマである。そのさいに、できるだけ多くの具体例が、できるだけ多くの分野から参照されるようにしたい。また参加者の個別発表を中心にして授業をすすめるつもりである。
表象文化論演習I(夏) 内野儀 昨年度から引き続きパフォーマンス研究の基本文献を読みます(英語)。昨年は、RoutledgeのCritical Conceptsのシリーズの一環として、Performance: Critical Concepts in Literary and Cultural Studies (2003)の四巻本を雑食的に読みましたが、今年度は半期ということもあり、The Performances Studies Reader(N.Y.: Routledge, 2004)をかなりの速度で読み切るということを目標にして、演習授業を行います。なお、成績評価は出席と授業における発表とディスカッションの貢献度をベースとし、学期末に、それぞれ15〜20枚程度のレポートを提出していただき、それらを総合的に判断して行います。
表象文化論演習II(冬) 中島隆博 「文明」の系譜学
近代における「文明」の系譜学を論じていく。手掛かりとして、Prasenjit Duara, Sovereignty and Authenticity, Rowman & Littlefield, 2003の読解から始める。論点は多岐にわたるが、今回は二つを特に取り上げたい。一つは、「文明」を支える「精神的」原理としての「宗教」がどのように表象されたか、もう一つは、「文明」が近代国家の「正統性」をどのように担保するのかである。
表象文化論実験実習I(夏) 田中純 おもにイメージ論、美術の分野において、「歴史」を論述する方法について考察する。歴史家が「歴史」なるものをどのように把握し、どのように構成するのかという、いわゆるHistoriographyを反省的にとらえ直すことが導入となるが、歴史哲学が問題ではなく、あくまで「歴史」を主題にした表象文化論の論考をいかに組み立てるべきかという実践的な訓練が目的である。
今学期月曜5限の授業については、修士課程の学生を主たる履修者とする(博士課程の学生は限定的に、特別の役割を果たすことを条件に参加してもらう)。修士1年の学生には基礎的文献のレポートを必須な課題として課す。イメージ論ないし美術史の分野で修士論文を書こうとする修士2年生(3年生)の学生の参加を強く求め、学期後半にはそれぞれの修論構想をたたき台として、参加者もそれらの主題について学習したうえで、徹底した議論をおこなう。
参考文献や授業計画は次のサイトに専用のページを設け、授業開始時までに情報を掲示する。 http://before-and-afterimages.jp/ なお、博士課程の学生については、毎金曜日6限(履修希望者の都合によっては曜日・時間帯を変更する)にコロキウムの場を設ける予定であり、こちらに参加することで、同じ授業の履修と見なす。このコロキウムについても上記サイトに情報を掲示するので、それを読んだうえで、参加希望者は第一回の集まりに参加するか、田中に連絡すること。
表象文化論実験実習II(冬) 松浦寿輝 「人と貝殻」をはじめ、フランスの詩人・批評家ポール・ヴァレリーのエッセイの数篇を原文で講読する。高度に文学的なフランス語の散文を味読することを通じて、最終的には第三共和制のフランスにおける「知」の在りかたの考察にまで及びたい。授業はフランス語を日本語に訳しつつ進行するので、受講者は十分な語学力を持つ者に限定する。
超域文化科学特殊演習I(夏) 滝浪幸次郎 『百扇帖』の世界
ポール・クローデルの短詩ならびにいくつかの論文を読みながら、主にエクリチュールの問題を考察する。翻訳にたよらざるをえないが、テクストはこちらで用意する。詳細は授業開示時に。受講者の関心によっては、クローデルが滞日した1920年代の日本のさまざまな文化現象にまで話が及ぶかもしれない。本演習は留学生を対象とするものです。