2002年度授業紹介 ── 大学院

講座名 担当教員 講座内容
文化創造論II(夏・冬) 河合祥一郎 シェイクスピア批評理論と実践
以下の予定に従って、シェイクスピア読解のための素養を培う。全出席を大原則とする。担当でなくても課題図書は必ず読み、疑問点を用意し、問題意識を高めておくこと。発表担当者は参加者の質問に答える義務がある。シェイクスピア作品は各自読んでおくこと。

(1)序、(2)TN &構造主義(フライ『批評の解剖』、『シェイクスピア喜劇とロマンスの発展』)(3)新批評vs.脱構築主義(ノリス『ディコンストラクション』)、 (4)Ant.&文化唯物論vs.本質的人文主義(Dollimore, Radical Tragedy)、(5)MV &記号論(バルト『表象の帝国』、『テクストの快楽』)+Imagery (Clemen, The Developmentof Shakespeare’s Imagery)、(6)新歴史主義(グリーンブラット『シェイクスピアにおける交渉』)、((7)Lear &本文批評(Bowers, Textual and Literay Criticism, McKenzie「テクストの社会学」、 McGann, A Critique of Modern Textual Criticism)、(8)ジェンダー(Orgel『性を装う』)、(9)Shr. &フェミニズム批評(Newman, Fashioning Femininity and English Renaissance Drama)、(10)Cor. &男性性(Kahn, Man’s Estate)、(11)Tro. &男性性(Bruce R. Smith, Shakespeare and Masculinity, Robin Headlam Wells, Shakespeare on Masculinity)、(12)最終議論(Breitenberg, Anxious Masculinity in Early Modern England; Alexander and Wells, eds. Shakespeare & Sexuality )——授業計画については初回の授業で詳しく説明する。
文化制度論II(夏・冬) 高橋哲哉 ディコンストラクションの諸問題
詳細は開講時に説明。
文化クリティシズムII(夏・冬) 高橋宗五 今年の授業ではカントの『判断力批判』を読みます。この書物は幾つかの読みが可能かと思われます。カントのこの著作(所謂第三批判)はカントの他の二つの批判書との関連で読むことができますし、或いは近代美学を確立した美学書と見なされているこの書物を近代美学史の関連で読むことも可能です。たとえば後者の関連で言えば、ヘーゲル以降の美学においては自然美の問題は完全に無視されていますが、カントにおいて美とは自然美のことであり、芸術においてカノンが完全に崩壊している現在、再び自然美について考えることは意義があるでしょうし(アドルノ)、或いは近代の美学において余白に追いやられていた崇高の問題が最近関心を集めています(リオタール)が、構想力では捕らえきれない、つまり表象不可能な崇高とは芸術にとってどのような意味があるのかという問題は十分考えるに値する問題です。さらにアレントのように『判断力批判』からカントの政治哲学を読み取ろうとする試みも存在しています。
このようにこの書物は読者の様々な関心に応えてくれる内容を備えていますが、他の二つの批判書と同様に極めて難解です。授業ではまずテキストのExpositionに基づき、カントの他の批判書との関連をも視野に収めながら読んでいきます。その途上で様々な問題が出てきますが、時には寄り道しながらゆっくり読み進めていく予定でいます。
テキストはFelix Meiner社のPhilosophische Bibliothek版所収、Heiner F. Klemme編集の最新版(2001年版)を用いたいと思いますが、既に他の版をお持ちの方は新たに買い求める必要はありません。
伝統と創造II(夏・冬) Patrick de Vos 詳細はガイダンスにて説明。
文化ダイナミクス演習I(冬) 杉橋陽一 詳細はガイダンスにて説明。
文化ダイナミクス演習II(夏) 高田康成 批評と倫理について
Andrew Gibson, Postmodernity, Ethics and the Novel(1999); Rey Chow, Ethics After Idealism(1998)等を参照しつつ、文化研究と倫理の問題を考える。なお本演習を受講する学生はAndrew Gibson客員教授の集中ゼミナール(7月19日−24日)に必ず出席しなくてはならない。
文化ダイナミクス演習III(冬) 松岡心平 世阿弥の能楽論をゼミナール形式で読む。何を読むかは、初回に相談の上、決めたい。
文化ダイナミクス実験実習I(冬) 小林康夫 詳細は開講時に説明。
文化ダイナミクス実験実習II(冬) 佐藤良明 マッキントッシュの映像・音声編集ソフトを使って、オリジナル作品を作っていく授業です。今回はサウンド編集に力点を置きたいと考えているので、音楽的センスを開花させたい(たとえば自作の曲をビデオクリップに仕上げていく)人に最適です。ハード/ソフトの性格上、10分を越えるような映画的作品には向きません。映像編集の中心になる Media 100が1台しかないので、初回の面談のさいに参加者を制限しなくてはならないことが考えられます。授業は、その週に行った作業を品評し、技を教え合うという形で進んでいくでしょう。とにかく第一週めの集まりに、各自自分のやりたいことの具体的な案をもって来てください。
イメージ分析論II(夏・冬) 中島隆博 動物と倫理をめぐる諸問題
詳細はガイダンスにて説明。
表象技術論II(夏) 田中純 「イメージ」の回帰・再生・反復といった現象について検討する。ジョルジュ・ディディ=ユベルマンのアビ・ヴァールブルク論を手がかりに考察を始める。
表象文化史I(夏・冬) 松浦寿輝 手の変幻
詳細はガイダンスにて説明。
アート・マネージメント論I (夏・冬) 浦雅春 ペトルーシカ研究
[夏学期]
ストラヴィンスキー作曲のバレエとして有名な『ペトルーシカ』を、その淵源に立ち返って考察する。ロシア版「パンチ・アンド・ジュディ」とも言うべきペトルーシカはロシアの定期市の見世物として19世紀から20世紀にかけて絶大な人気を誇った民衆演劇の一形態であり、20世紀の舞台芸術の革新者に多大な影響を与えた。授業ではストラヴィンスキーの『ペトルーシカ』を手がかりにロシア民衆文化の想像力を検討することになるだろう。文献としては英語で書かれた Catriona Kelly. Petrushka: The Russian Carnival Puppet Theatre. (Cambridge:Cambridge University Press,1990)を主として使用するが、必要に応じてロシア語の文献も参照する。ただし、受講者にはロシア語の知識は必須とはしない。

[冬学期]
夏学期の授業の進捗に応じて、冬学期にはストラヴィンスキーのバレエ『春の祭典』を取り上げるか、もしくはロシア民衆文化全般に研究をスライドさせる積もりだが、詳細は未定。
パフォーミング・アーツ論II(夏・冬) 内野儀 [夏学期]パフォーマンス研究入門
近年、分析の場面としてのパフォーマンス、あるいは概念としてのパフォーマティヴィティが多様な学問領域で注目を集めている。さまざまな形態のパフォーマンス(諸芸術ジャンルから日常生活まで)に注目するパフォーマンス研究は、アメリカにおける狭義の演劇研究から発展し、その後、隣接学問分野とヨーロッパ的知との接合を果たしながら、次第に広がりを見せつつあり、本年度は日本でも初の本格的な国際学会も開かれる予定になっている。このゼミでは、パフォーマンス研究の概要を、その創始者のひとりであるニューヨーク大学のRichard Schechnerによる大学院向け教科書Performance Studies: An Introduction (2002)を通して学ぶことを目的とする。本テクストは4月出版予定であるが、出版の遅れもありうるので、著者による最終原稿を当初使用する予定である。

[冬学期]近代戯曲の系譜II
数年前に戦前の日本戯曲研究のゼミを開講したが、今年度は冬学期にその続きとして、戦後戯曲を読む。具体的には三一書房の『現代日本戯曲体系』におさめられた戯曲を適宜取捨選択しながら読んでいくということになる。今年度は、急ぎ足で同時代までたどり着くことよりも、50年代から60年代に書かれた戯曲について、文学との関係や社会情勢との関係への配慮をしながら、集中的に検討を加え、70年代くらいまでを射程におさめておくことを目的としたい。
表象文化論演習I(冬) 刈間文俊 詳細はガイダンスにて説明。
表象文化論演習II(夏) 一條麻美子 宮廷文化について
中世ヨーロッパ文学を理解する上で、その舞台となる宮廷の有り様を知ることは不可欠である。この授業では宮廷の儀礼、社交マナーなどを文献から明らかにしていきたい。詳細は開講時。
表象文化論実験実習I(夏) 岩佐鉄男 <声>という人間にとってもっとも身近な音響=楽器について、さまざまな研究論文、録音、映像、実技などを通して多面的に解析する。参加する学生の関心や問題意識に応じてテーマを割りふり、発表してもらう予定。
表象文化論実験実習II(夏) 長木誠司 Slavoj Zizek / Mladen Dolar の Opera's Second Death.(Routledge, 2002)を輪読する。前半になっているDolar の部分と、後半のZizek の部分との配分は、最初の授業の際に相談により決定するが、いずれにしても担当箇所の発表というかたちで進める。当然、各自の担当分以外の箇所も予め目を通しておくことが必須である。
表象文化論実験実習III(夏) 石光泰夫 舞踊史における身体の考古学
18世紀から19世紀への世紀転換期に成立した特異な舞踊の身体(とりあえずはロマンティック・バレエからはじまった)の命運を、現代に至るまでたどる。思想や文学、また絵画などの造型芸術をもたえず参照しながら、むしろ舞踊を介しての身体イメージの歴史学(考古学)を実践してみたい。そのさいにキーになるイメージは「異界の女」であり、このイメージの諸相をディスクール分析することが主たる作業となるはずである。 この授業の性質上、映像メディアをたえず参照する。また、5月に駒場キャンパスで行われる予定のピナ・バウシュのワークショップへの参加はオブリゲーションとする。授業は金曜日4限、視聴覚ホールで行う。
超域文化科学特殊演習I(夏・冬) 滝浪幸次郎 南北を読む─文化・文政期のかぶき研究
鶴屋南北作『東海道四谷怪談』を読みます。テクストは「新潮日本古典集成」本を使用します。詳細は開講時に。